京急も京王も引き下げ 全国にある鉄道の「加算運賃」、どんな決まりがある?

加算運賃を廃止した路線、40年以上設定している路線

 鉄道の運賃は、列車運行に必要な営業費に一定の利潤を上乗せして算出した額から定められています。ひとつの鉄道事業者にはひとつの運賃体系が原則です。ところが、土地や物価などの高騰により新線建設のコストが著しく増大するなかで、新線の建設費を回収するための運賃値上げは、他路線の利用者からすれば不合理だという声が上がり、新線の利用者(受益者)により多くの負担を求める特別加算運賃制度が設けられました。2019年11月30日(土)に開業する相鉄・JR直通線にも加算運賃30円(普通運賃)が設定される見通しです。

 加算運賃がいつ、どの段階で廃止されるのか、明確な決まりはありませんでしたが、運輸省(当時)はかつて「10年をひとつの目途として加算運賃は順次逓減(編注:徐々に減らしていくこと)させていく方針」と説明していました。

 東急新玉川線(現・東急田園都市線の渋谷~二子玉川間。1977年設定、1997年廃止)や、名鉄瀬戸線(1978年設定、2006年廃止)、小田急多摩線(1979年設定、2005年廃止)など、回収が順調に進んだことで加算運賃を廃止した路線もありますが、1970(昭和45)年開業の近鉄鳥羽線や1974(昭和49)年開業の名鉄知多新線、1976(昭和51)年開業の相鉄いずみ野線など、40年以上にわたって加算運賃が設定されている路線も少なくありません。

 2012(平成24)年に内閣府消費者委員会は国土交通省に対し、長期間の加算運賃を継続する必要性・妥当性の説明責任が不十分であると指摘。国交省は「加算運賃は回収率が100%に達するまでとする(鉄道事業者の経営判断で加算運賃の減額、廃止は可能)」との見解を示し、鉄道事業者に回収率と今後の見通しなどを情報公開するよう指導しました。

この記事の画像をもっと見る(2枚)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

3件のコメント

  1. 近鉄難波線(日本橋~大阪難波)でも加算運賃設定されていたはず。また昔の鉄道誌(の復刻版)を読んでたら運賃比較で、「京阪は(淀屋橋延伸開業時に)淀屋橋~天満橋に加算運賃を設定しているので天満橋からの距離で比較します」というような一節があったのでそこも加算運賃設定していたのかな。
    阪神なんば線と京阪中之島線、同じスキーム(上下分離方式)で建設されたのに、なんば線は償還順調だねぃ。中之島線は延伸が決まれば更に借金まみれになりそう(涙)

    • ま、間違えた。日本橋→大阪上本町

  2. 阪神なんば線の回収率が50%を越えたとあるが、これは建設費を線路使用料として40年かけて返済する計画になっているために見た目の回収率(未払いの線路使用料が建設費に計算されてない)が高くなってるだけで、実際は1年分の線路使用料と加算運賃による回収額がとんとんないし若干回収額の方が高いぐらいです。
    まあ中之島線よりは遥かに順調に回収してますが。