京急も京王も引き下げ 全国にある鉄道の「加算運賃」、どんな決まりがある?

回収順調な京急・京王、今後の見通しは?

 京急の事例を見ると、2017年度時点の空港線に係る設備投資額と施設使用料・支払い利息などの総額は約1055億、運賃収入の累計は約800億円で、回収率は76.3%。「回収完了にはまだしばらく期間を要する見込みで、今後は回収状況を勘案しながら適時・適切に検討する」としています。

 京王は同じく2017年度時点で、相模原線の投資総額約867億円に対し、運賃累計は約811億円、回収率は93.5%で、「回収率が100%に達するまでの期間は5年程度と見込んでおり、加算運賃の減額・廃止は状況を勘案しながら検討する」としていました。

 加算運賃の設定額は10円から230円(南海空港線)まで様々ですが、回収率が100%に達するまで一切減額せず、いきなり廃止するのは運賃施策上からも望ましいものではありません。例えば開業から10年を迎えた阪神なんば線は、通勤路線としては高い最大90円の加算運賃を設定していますが、輸送人員は好調に推移しており、回収率は既に50%を超えています。

 運賃を値下げすれば利用者は増加します。利用者が増えれば加算運賃の減額もある程度カバーが可能です。実際、京王は相模原線の加算運賃を過去4回にわたって減額し、段階的な負担軽減を進めてきました。こうした事例を参考に、回収が順調な路線については、節目ごとに加算運賃を段階的に引き下げるなどの議論も今後は必要になるでしょう。

【了】

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コメント

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3件のコメント

  1. 近鉄難波線(日本橋~大阪難波)でも加算運賃設定されていたはず。また昔の鉄道誌(の復刻版)を読んでたら運賃比較で、「京阪は(淀屋橋延伸開業時に)淀屋橋~天満橋に加算運賃を設定しているので天満橋からの距離で比較します」というような一節があったのでそこも加算運賃設定していたのかな。
    阪神なんば線と京阪中之島線、同じスキーム(上下分離方式)で建設されたのに、なんば線は償還順調だねぃ。中之島線は延伸が決まれば更に借金まみれになりそう(涙)

    • ま、間違えた。日本橋→大阪上本町

  2. 阪神なんば線の回収率が50%を越えたとあるが、これは建設費を線路使用料として40年かけて返済する計画になっているために見た目の回収率(未払いの線路使用料が建設費に計算されてない)が高くなってるだけで、実際は1年分の線路使用料と加算運賃による回収額がとんとんないし若干回収額の方が高いぐらいです。
    まあ中之島線よりは遥かに順調に回収してますが。