京急も京王も引き下げ 全国にある鉄道の「加算運賃」、どんな決まりがある?

京急空港線や京王相模原線で、通常の運賃の上乗せ分である加算運賃の引き下げが予定されています。この加算運賃は、おもに新線の建設費回収を目的に設定されますが、引き下げや廃止など、どのように決まるのでしょうか。

「戦略的値下げ」の側面も

 京急電鉄が2019年10月1日から空港線の加算運賃を引き下げます。延伸工事や輸送力増強工事の費用を回収するため、普通運賃の場合170円を上乗せしてきましたが、空港線の利用者が増加し、投資額の回収が順調に進んできたとして、加算運賃を120円引き下げて50円にするというのです。

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京急空港線の羽田空港国内線ターミナル駅(2018年11月、草町義和撮影)。

 京王電鉄も2019年10月から相模原線に設定している加算運賃を引き下げると発表しました。相模原線は多摩ニュータウンの通勤ルートにするために、戦前に建設された多摩川支線を延伸した路線で、1974(昭和49)年に京王多摩センター、最終的に1990(平成2)年に橋本まで延伸開業しました。京王多摩川~橋本間(21.4km)には10~80円(普通運賃の場合)の加算運賃が設定されていましたが、2018年3月に最大20円の引き下げが実施されています。今回さらに最大40円引き下げることで、相模原線の加算運賃は20km以上の区間を除き廃止されることになります。

 加算運賃の引き下げ理由について京王は、建設事業費の回収が進んでいるためとしていますが、2018年3月からわずか1年半で状況が変わるはずはありません。これは言うまでもなく、多摩ニュータウンで競合関係にある小田急電鉄が2018年3月に代々木上原~登戸間で複々線化(線路を4本にすること)を完成させ、所要時間の短縮や新宿直通列車の増発に成功したことで輸送人員を大きく伸ばしたことに対抗して行われる戦略的値下げです。

 京急の加算運賃引き下げについても、発表の前日(2019年2月15日)にJR東日本が「羽田アクセス線」の事業着手を発表しており、運賃値下げによりJR線の開業前に羽田空港輸送のシェアを拡大しておきたいという思惑があったことは間違いありません。

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3件のコメント

  1. 近鉄難波線(日本橋~大阪難波)でも加算運賃設定されていたはず。また昔の鉄道誌(の復刻版)を読んでたら運賃比較で、「京阪は(淀屋橋延伸開業時に)淀屋橋~天満橋に加算運賃を設定しているので天満橋からの距離で比較します」というような一節があったのでそこも加算運賃設定していたのかな。
    阪神なんば線と京阪中之島線、同じスキーム(上下分離方式)で建設されたのに、なんば線は償還順調だねぃ。中之島線は延伸が決まれば更に借金まみれになりそう(涙)

    • ま、間違えた。日本橋→大阪上本町

  2. 阪神なんば線の回収率が50%を越えたとあるが、これは建設費を線路使用料として40年かけて返済する計画になっているために見た目の回収率(未払いの線路使用料が建設費に計算されてない)が高くなってるだけで、実際は1年分の線路使用料と加算運賃による回収額がとんとんないし若干回収額の方が高いぐらいです。
    まあ中之島線よりは遥かに順調に回収してますが。