瀬戸内の島を渡っていく路線バス 広島直通の生活路線、その光と影
広島市および呉の市街地と、瀬戸内海に浮かぶ4つの島々を結ぶ路線バス「とびしまライナー」。島々への架橋により、船に代わる移動手段として誕生したこのバスは、地域の生活を大きく変え、近年は観光路線としての役割も担います。
架橋により誕生した「安芸灘諸島~広島」直通バス
広島県呉市の沖合に浮かぶ下蒲刈(しもかまがり)島、上蒲刈島、豊島、大崎下島などの島々を「安芸灘諸島」と呼びます。橋で本土とつながっているこれら4島と、呉、広島市街地を結ぶ路線バスが「とびしまライナー」。都会の広島から、ちょっとした「アイランドホッピング(島々を飛び回る)」気分を味わえる路線です。
広島バスセンターを出発したバスは、広島駅に立ち寄ったのち、高速道路の広島呉道路(クレアライン)を経由して呉市街へ。市内をさらに東へ進み、「女猫(めねこ)の瀬戸」と呼ばれる海峡部に架かる安芸灘大橋を渡り、下蒲刈島に入ります。まもなく到着する見戸代バス停では、トイレ休憩を兼ねて長めに停車します。
この見戸代バス停は、2000(平成12)年まで下蒲刈島と本土と結ぶフェリーのターミナルがあった場所。使用されなくなった桟橋の近辺は海釣りスポットとして知られ、待合室のトイレにある「ここでイカをさばかないで」との張り紙が、釣り人の多さをうかがわせます。
その後、3つの橋を渡って上蒲刈島、豊島、大崎下島を走行。各島内ではほぼ海沿いを走り、大崎下島内では「このままバスが海に入るのでは」と思うほど急な、岬の先端部にあるカーブを曲がっていきます。大崎下島を半周し、終点の「沖友天満宮」バス停で乗客を降ろしたバスは、もはや運転席から釣り糸が垂らせそうなほどの海沿いに停車し、折り返しの広島行きとなるまで休憩します。
安芸灘諸島の島から島への移動は長らく船に頼ってきましたが、1979(昭和54)年の「蒲刈大橋」(下蒲刈島~上蒲刈島)を皮切りとして、島々は徐々に橋でつながっていきます。2008(平成20)年の「豊島大橋」(上蒲刈島~豊島)の開通で、本土と4つの島が陸続きとなり、「安芸灘とびしま海道」の愛称がつきました。そして、フェリーや高速船に代わって「とびしまライナー」(正式名称は「広島~蒲苅・豊浜・豊線」)が誕生し、大崎下島から広島市内までが1本のバスで結ばれたのです。
バスも情緒あふれる街並みも、いまのところ人が居たればこそだが、いつまでこのシーンを拝めるだろうか。
去年岡山〜熊本の旅行で通りました!
東京近辺ではなかなか見られない風景であり、東京人にとっては新鮮さを感じる美しさがあります!
少子高齢化、運転士不足。。。風光明媚なのはいいけど、バスの存続が心配。
無人運転でこれらの悩みが解消されるだろうか。