東北本線の支線「利府線」に乗ってみた 幹線からローカル線、そして仙台の通勤路線に

法律の「盲点」に救われたあとに発展

 しかし、国鉄再建法に基づくローカル線の整理は、「正式な路線名」の「全体」で廃止の可否を判断しました。ひとつの路線内で利用者の多い区間は残し、利用者の少ない区間のみ部分的に廃止するという手続きは、再建法では定められていなかったのです。

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新利府駅を発車した利府行き普通列車。後ろに東北新幹線車両基地の新幹線総合車両センターがある(2019年5月9日、草町義和撮影)。

 そのため、東北本線の一部である「利府線」は、東北本線の「本体」も含めた利用者数で廃止の可否が判断されました。東北本線は東京の通勤輸送も担う大幹線で利用者も多く、結果的に「利府線」も再建法の対象から外れました。ある意味、法律の「盲点」に助けられた格好です。

 実際は福知山線の支線だった「尼崎港線」(兵庫県)など、再建法の対象外でも国鉄の地方組織(鉄道管理局)の判断で廃止された区間や支線がありました。しかし国鉄は1982(昭和57)年、「利府線」に新駅を整備します。これが東北新幹線の車両基地の最寄り駅である新利府駅です。車両基地に勤務する職員の通勤路線として、「利府線」を存続することになったといえます。

 その後、「利府線」の沿線は仙台郊外の住宅地として発達。2000(平成12)年には、利府駅から約3km離れたところに宮城スタジアムがオープンしました。スポーツ試合やイベントの開催時には、利府駅とスタジアムを結ぶシャトルバスが運行されるようになりました。

 こうしたことから、「利府線」の利用者は大幅に増えました。1日1kmの平均利用者数(輸送密度)は、国鉄分割民営化時の1987(昭和62)年度が1324人だったのに対し、2017年度は5704人。30年間で4倍以上です。運行本数も、2019年3月ダイヤ改正時点で1日27往復(うち20往復は仙台駅まで直通)になりました。

 ちなみに、国鉄再建法では原則として、輸送密度が4000人未満を廃止の対象にしていました。もし「利府線」が東北本線の支線の「通称」ではなく「正式」な路線名称だったら、廃止されていたかもしれません。

【了】

【地図】どう変わった? 東北本線と「利府線」のルート

Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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コメント

4件のコメント

  1. 平たい田んぼばっかのところだから、新幹線の車両基地作ったんでしょ。
    九州新幹線の熊本車両基地、北陸新幹線の白山車両基地も同じ

    • 博多南線、博多南駅もそうだね

  2. 三セクになった方がかえって便利になっていたのかも。
    地下鉄や空港アクセス線をみた感じ、運賃高くても運行頻度高ければ利用しやすいし、自治体が鉄道と一体的に宅地開発したら人口増えそうだと思うけどな。

    • つくばエクスプレスか