ジェットフォイル新造船、25年ぶり起工の背景 老朽化待ったなし 置き換えは進む?

離島にはとても重要なジェットフォイル

――ジェットフォイルにはどのような需要があるのでしょうか?

 土砂災害や火山災害などのリスクを抱える伊豆諸島にとって、ジェットフォイルは非常に重要な存在です。スピードが速く小回りが利き、すぐに避難することができます。新造船の価格は50億円を超えますが、災害対応における有用性を東京都に認めていただき、船価の45%にあたる23億円を補助していただきました。

 また当社では2002(平成14)年にジェットフォイルを投入して以降、お客様の層も変化しています。従来型の客船は東京~伊豆大島間を4時間以上かけて結び、東京発の便は夜行になりますが、ジェットフォイルならば最短1時間45分です。ジェットフォイルの投入でお子様連れのファミリーやご年配の方など、夜行の客船が苦手というお客様のご利用が増えました。

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川崎重工の神戸工場で執り行われたジェットフォイル起工式の様子(画像:東海汽船)。

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 他社の航路で運行中のジェットフォイルも、その多くは1980年代から90年代にかけて造られたもので、老朽化は待ったなしといった状況でしょう。東海汽船は新造ジェットフォイルの発注数を確保すべく、運航各社と話し合っていたものの、その船価がネックとなり、状況は好転していないようです。「当社の場合は東京都の補助があったので実現しましたが……」とのこと。

 その東海汽船の新造船も、エンジンは既存船のものが流用されます。1隻だけでは、川崎重工側でエンジンの生産再開には至らなかったためです。また、「セブンアイランド虹」以外のジェットフォイルについても新造船へ置き換える希望はあるものの、2隻目以降については未定だといいます。

 なお、今回のジェットフォイル新造船は「セブンアイランド結(ゆい)」の名で、2020年6月下旬に就航する予定です。

【了】

【画像】25年ぶりの新造ジェットフォイル内外装

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