名古屋の「せま~いホーム」消滅へ 名鉄の西枇杷島駅、改修前に訪ねてみた

利用者は少なくても重要な駅

 西枇杷島駅が開業したのは、いまから100年以上前の1914(大正3)年1月23日。のちに現在の名鉄犬山線(犬山方面)に抜ける短絡線も整備され、名古屋本線、犬山線、短絡線で構成される三角形の線路(デルタ線)が西枇杷島駅の東側に構築されました。

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名古屋本線をまたぐ東海道本線の普通列車から西枇杷島駅を眺める(2019年6月19日、草町義和撮影)。

 短絡線を走る営業列車はいまはありませんが、デルタの3辺を通ると向きが変わることから、車両の方向転換を行うときに使用。短絡線を含むデルタ線の信号機などは現在、西枇杷島駅で管理されています。利用者は少なくても、列車の運行上は重要な「拠点駅」です。

 戦時中の1944(昭和19)年には旅客営業を廃止して貨物駅になりましたが、庄内川のすぐそばにあった枇杷島橋駅(現在の枇杷島分岐点)が戦後の1949(昭和24)年に廃止されたため、同駅の代わりとして西枇杷島駅の旅客営業が復活しました。国土地理院の空中写真によると、このころに待避線が整備され、狭い島式ホームを上下線にそれぞれひとつ設けた配置になったとみられます。

 西枇杷島駅のような狭いホームは、ほかにも全国にいくつかあります。ただ、安全の確保やバリアフリー設備の整備が難しいこともあり、徐々に減少。阪神電鉄の春日野道駅(神戸市中央区)は、かつて幅2.6mの島式ホームが設けられていて、その幅の狭さが有名でしたが、バリアフリー化のため線路の両外側に幅の広い新しいホームを設けることになり、島式ホームは2004(平成16)年に使用を終了しています。

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西枇杷島駅から犬山線の犬山方面に抜ける短絡線。
短絡線と犬山線の合流地点。
枇杷島橋駅があった枇杷島分岐点。名古屋本線(左)と犬山線(右)が分かれる。

 名鉄も2019年3月、西枇杷島駅のホーム改良と駅舎建て替えを2019年度の設備投資計画に盛り込みました。かつては西枇杷島駅の待避線に普通列車を停車させて、後続の準急列車などを先に行かせていましたが、2019年3月16日のダイヤ改正で待避線を使う列車が消滅。これに伴い、待避線を撤去してホームを拡張することになりました。

 工事はまだ始まっていませんが、そう遠くない時期、「狭いホーム」が姿を消すことになりそうです。

【了】

【地図】「狭いホーム」西枇杷島駅はここにある!

Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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コメント

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3件のコメント

  1. 今回の記事、努力したことはわかるんだけど、やっぱり草町さんって二歩足りないよね
    西枇杷島の待避線を使用しなくなったが、代わりにどうしているのか
    ホームに客を入れた後は通貨列車も低速になっていることはわかるが、ホームに客を入れていないときはどうなのか
    そういうところが書けないと、他のサイトに置いてかれるよ?
    そうやって乗り物ニュースを化石にしたいのかい?

    • 記事内の下記文も草町さんが書いたものと思うが。バイアスかかった目には見えてないのだね。

      >2019年3月16日のダイヤ改正で待避線を使う列車が消滅。これに伴い、待避線を撤去してホームを拡張することになりました。

    • おさらいさん

      はてなぼーどさんのご意見は、
      ・そのダイヤ改正で消滅させた代わりはどうしているのか
      ・ホームが無人の時の通過列車の速度も低速なのか
      について書いておかないとまずいんじゃないの?
      と、現地の事情に詳しくない人向けに説明が必要と言う意味。

      答えは、
      ・消滅した代わりは1駅岐阜寄りの二ツ杁駅での待避に変更
      ・西枇杷島の名古屋方は急カーブなので、そもそも通過列車は低速