新興バス会社が挑む「高速バス王国」九州 老舗ひしめく昼行路線への新規参入、勝算は?

西鉄など老舗のバス事業者が築いた九州の昼行高速バス路線に、ある新興事業者が真っ向から競合する形で新規参入しました。成功例が少ない昼行路線への後発参入、既存路線の乗客に振り向いてもらうには、何が必要なのでしょうか。

相次ぐ昼行路線の新規参入、いまは追い風?

 2019年7月はユタカ交通以外にも、高松空港~四国中央線(西讃観光バス)、東京~南相馬線(東北アクセス)と、貸切バスが中心だった新興事業者による昼行路線への参入が相次ぎました。背景のひとつは、国内客、訪日客ともに団体ツアーから個人旅行へシフトが進み、貸切バス市場が縮小していることです。こうした事業者が、体力に余裕のあるうちに新規事業へ挑戦しているというわけです。

 もうひとつ、これら事業者が都心や空港で停留所を確保できた点も、路線開設の背景にあります。高松空港をはじめ民営化された空港はバス路線誘致に積極的ですし、福岡では2018年12月、博多駅の近くでUR(独立行政法人 都市再生機構)による再開発の一環として「HEARTSバスステーション博多」が開業しており、ユタカ交通の新路線もここに乗り入れます。

 2013(平成25)年、新興事業者がおもな事業形態としていた高速ツアーバス(募集型企画旅行という形態を採りながら、実質的には都市間移動サービスを提供するもの)から、高速乗合バスに制度移行した際、新興事業者が福岡に確保できた停留所は期間限定の暫定停留所でした。暫定期間終了後の救済策を目的のひとつとして、「HEARTSバスステーション博多」が作られました。

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2018年12月開業の「HEARTSバスステーション博多」。ユタカ交通の福岡~長崎線、福岡~佐世保線が乗り入れる(画像:HEARTS)。

 他都市では、既存のバス事業者が、新興事業者をあえて既存のバスターミナルに乗り入れさせるなど停留所確保に協力しつつ、発着枠や路線展開の住み分けを図り、結果として新興事業者の将来における路線拡大を縛った例が多くあります。逆に福岡では、新興事業者は当面の我慢を強いられたものの、あとになって駅前に立派なターミナルを得るという、予想外の出来事が起きました。

 3年後の2022年には、九州新幹線長崎ルートの暫定開業(武雄温泉~長崎)が予定されています。福岡~長崎間は直通の特急が廃止され、鉄道では乗り換えが必要となりますから、高速バスにとっては逆に成長のチャンスだといえます。新旧両陣営が健全に競合しながら、地元リピーターや観光客のニーズに応え、お互いに成長することが期待されます。

【了】

【画像】新規に開業した福岡~長崎線・佐世保線の運賃

Writer:

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。著書に『高速バスのビジネス』(成山堂書店)、『「マーケティング感覚」の実装力』(同文舘出版)。新聞、テレビなどでコメント多数。

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コメント

1件のコメント

  1. 深刻な運転士不足のご時勢、新規参入の話題は非常に珍しく感じられた。

    ただこの記事を観て初めて知るほど、あまりにも知名度がない。

    運賃が異常に安いが、やはりこのご時勢、むしろ心配すらなってしまう。

    福岡側は博多だけで、肝心の天神を一切通らないのも気になる。。。

    とりあえずずっと続いてくれればうれしいのだが。。。

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