2029年月面の旅はトヨタのキャンピングカーで! JAXAと新月面車開発、どんなクルマ?
長らく実施されていなかった有人月探査が近い将来、再開される見通しです。そこではJAXAとトヨタが開発に名乗りを挙げた月面車が使用されるかもしれません。有人月探査再開の理由と、キャンピングカーにたとえられる新月面車に迫ります。
ふたり乗りキャンピングカーで「月面のオアシス」を探す旅へ
いまから50年前の1969(昭和44)年7月20日、アポロ11号が人類初の月面着陸を果たしました。そしていまから10年後の2029年、日本は世界各国の宇宙機関と協力して、月面探検を始めます。そこで必要な月面車の開発に、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)とトヨタ自動車が名乗りを挙げました。
「アポロ計画」から50年ものあいだ、月面開発が進まなかった理由は、役に立つ資源が月面に見つからなかったからでした。しかし1990年代頃から、月面の砂のなかに水があることがわかってきました。地球は水資源が豊富な惑星ですが、重力が月の6倍もあり、宇宙へ運ぶ費用が高くつくので、月で水を生産した方が宇宙では安上がりの可能性があります。かつて旅人や船がオアシスに立ち寄って水を得ていたように、月を宇宙時代のオアシスにするため、アメリカを中心に日本、ロシア、ヨーロッパ、カナダが協力して、有人月面探査の準備を始めています。
かつてのアポロ計画では、15号から17号まで「月面車」が使われました。この月面車は、ふたりの宇宙飛行士が宇宙服を着用した状態で乗るもので、屋根も壁もない、カートのような乗りものでした。走行距離は数十kmで、宇宙飛行士は月着陸船に戻って宇宙服を脱ぎ、食事や睡眠をとっていました。
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JAXAとトヨタが構想する今回の月面車は、ふたり乗りである点は同じですが、その規模はまったく異なります。車体のなかは四畳半ほどの広さがあり、地球上と同じ空気で満たされているので、宇宙飛行士は宇宙服を脱いで、普段着ですごすことができます。また月面を旅しながら、地面を掘って水などを調べる研究設備も備えます。キャンピングカーか、移動式月面基地と言ってもよいほどの立派なものです。
月面車は2台セットで運用され、4人の宇宙飛行士が2台にふたりずつ分かれて乗ります。これは万一、月面車の1台が走行不能に陥った場合でも、残りの1台に4人で乗って月着陸船へ戻るためです。
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