2029年月面の旅はトヨタのキャンピングカーで! JAXAと新月面車開発、どんなクルマ?

マイナス170度の夜とオフロード走行、燃料電池が解決

 月の1日、すなわち1回転自転するのにかかる時間は、地球の28日にあたります。昼と夜が、地球時間で14日ずつ続くのです。そこで宇宙飛行士は、月の朝のタイミングで月面に着陸し、月面車に乗り換えて月の昼にあたる14日間、数百kmの探検をします。14日間続く夜のあいだは停車して過ごし、夜が明けるとまた14日間の探検に出発。月の夕方に着陸船へ戻って、地球へ向けて出発します。月の感覚では「1泊2日」ということになりますが、地球の時間では合計42日間です。

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月面車の共同開発でタッグを組む、JAXAの若田光一 宇宙飛行士・理事(左)と、トヨタの寺師(てらし)茂樹副社長(大貫 剛撮影)。

 月の夜は過酷です。空気がないので、地面の温度はマイナス170度まで下がってしまいます。月面車には、14日も続く南極より寒い夜に耐え、数百kmのオフロード走行を可能にするエネルギーが必要です。トヨタはこれを、燃料電池で解決することにしました。

 燃料電池は水素と酸素から、電力と熱と水を作ります。地球上の燃料電池自動車はおもに電力を利用しますが、月の夜の低温を耐えるには熱も有効に利用できます。また水は、宇宙飛行士の飲料水に使えます。

 トヨタは燃料電池自動車「ミライ」などの技術をもとに、月面車の燃料電池や走行装置を開発します。一方JAXAは、宇宙ステーションや宇宙探査機の技術をもとに、月面車の生命維持装置や月面探査装置を開発することになります。

【写真】目に見える50年の差 アポロ計画の「月面車」

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