2029年月面の旅はトヨタのキャンピングカーで! JAXAと新月面車開発、どんなクルマ?

長らく実施されていなかった有人月探査が近い将来、再開される見通しです。そこではJAXAとトヨタが開発に名乗りを挙げた月面車が使用されるかもしれません。有人月探査再開の理由と、キャンピングカーにたとえられる新月面車に迫ります。

「はやぶさ2」の技術も応用、世界のライバルに挑戦

 宇宙飛行士が地球へ帰っても、月面車の仕事は終わりません。有人月面探査は2029年から2034年のあいだに全部で5回、それぞれ月の別の地域で行われることになっていて、5回とも同じ月面車を使いまわします。成田空港からの関東観光に使ったレンタカーが、関西空港へ移動して関西観光に使われるような感じで、月面車が無人で移動して次の宇宙飛行士を待ち構えるのです。

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水資源が有望な5か所の地域を6年かけて探査(画像:JAXA)。

 月面には歩行者やほかの車はいませんから、交通事故の心配はありません。しかし、月にはGPS衛星がありませんし、誰も走ったことのない場所のオフロード走行ですから、地球上での自動運転とはまったく異なる難しさがあります。これには、遠い宇宙で正確な自動着陸に成功した小惑星探査機「はやぶさ2」の技術も応用されます。

 ただ、国際有人月面探査計画のなかで、日本が月面車を担当するかはまだ決まっていません。将来の月面基地建設や火星探査へつながる大きな経験を手にしたいという思いは、アメリカをはじめとする各国も持っています。日の丸とトヨタのマークが描かれた人類初の宇宙キャンピングカーで、世界中の宇宙飛行士が月面探検の旅に出る。そんな未来が10年後に来るのか、JAXAとトヨタの挑戦が始まりました。

【了】

【写真】目に見える50年の差 アポロ計画の「月面車」

Writer:

宇宙開発を中心に活動する科学ライター。東京都庁の土木技術職員として11年間勤務後、宇宙開発ベンチャーを経て独立。宇宙船やロケットのほか、趣味のスカイスポーツや古巣の道路も取材する。子供の頃からの鉄道好きだが、最近は飛行機や車での移動も多い。

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