F-14も飛んだ! 『トップガン』続編予告を読み解く 階級、乗機…「撃墜数」は意味深?
実は意味深? 「3機撃墜した唯一の男」という表現
ちなみにマーヴェリックを「ここ40年で3機撃墜した唯一の男」としていますが、これは少し気になる表現です。まずアメリカ海軍以外で唯一のF-14ユーザーであるイラン空軍では、イラン・イラク戦争において11機を撃墜したジャリル・ザンディ准将(最終階級)を筆頭に、F-14で5機以上撃墜を記録した「エース」が4名誕生しており、同じくイラン空軍のF-5では1名、さらにイスラエル空軍F-15では2名、F-16では2名のエースが存在します。
F-16で7機を撃墜したイスラエル空軍のアミール・ナシュミ准将(最終階級)は、F-4での経歴を含め合計14機。しかもF-16ではたった1日で5機を撃墜しており、歴史上最後の「ワンデイエース」となっています。アメリカ軍に限っても、ここ40年で3機を撃墜したパイロットは3名存在し、いずれも空軍のF-15パイロットです。
もちろんこれらは実在の人物のお話なので、フィクションのなかでは無関係かもしれません。
なお、F-14という戦闘機は、操縦士だけでは離陸すらできない飛行機であり、前作においてマーヴェリック機のレーダー迎撃士官として後席に搭乗した、エビエイターのマーリンも「3機撃墜した男」として数えるべきです。最初にマーヴェリックとコンビを組んだグースに比べると存在感がないマーリンですが、恐らくはマーヴェリックと同じだけ表彰されているはずです。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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