中国の新幹線「高鉄」に初めて乗ってみた 予約せずに一苦労、乗れば日本とほぼ同じ?
静かに発車、347km/hまで加速
乗車したのは、日本の新幹線の普通車に相当する「2等座」です。車内で最初に目についたのはデッキに設けられたお手洗い。ドアが全開で、洋式便器が見えました。客室に入ると、こちらは2列+3列のシートが並んでいます。また、頭上には荷棚があり、ここまでは日本の新幹線と同じです。相違点を挙げるとすれば窓が大きかったことくらいでしょうか。車内はほぼ満席だったものの大声でしゃべる人はおらず、非常に静かでした。列車も静かに、そして滑らかに発車していきます。
途中、隣接する在来線の線路を走る客車列車や貨物列車と並走、あるいはすれ違うというシーンがあり、思わず車窓にくぎ付けに。また、車内に目を向けるとドア上部のディスプレイではニュースの代わりに列車の速度が表示されていました。どこまで速度を上げるのだろうと眺めていたところ、最終的に347km/hを記録していました。
周囲はスマホを操作している人、眠っている人が多く、相変わらず静かでした。車内は全席禁煙で喫煙ルームはなく、乗車時間が短かったことからお手洗い目的で立ち歩く人も見られませんでした。すべて指定席であるためか、検札もなしです。
北京南駅を発車した列車は途中どこにも停車せず、終点の天津駅まで30分で走り抜けます。天津駅近くでワゴンを押した係員が登場したので「車内販売?」と期待したところ、ゴミの回収でした。
初めての高鉄乗車はあっという間に終了し、快適なうちに天津駅に到着してしまいました。私は天津駅でも列車などを撮影していましたが、そのあいだにほかの乗客はいなくなってしまいました。
出札時はきっぷを改札に投入しました。高鉄自動改札の初体験です。入れたきっぷはなぜか出てくる仕組みだったため、旅の思い出として、いまも手元に残っています。
乗ってしまえば、車窓以外は新幹線とよく似た高鉄ですが、乗車までのハードルが少し高かったので、今後、中国で鉄道旅行をするときは、すべて予約しておこうと心に決めました。
【了】
Writer: 蜂谷あす美(旅の文筆家)
1988年、福井県出身。慶應義塾大学商学部卒業。出版社勤務を経て現在に至る。2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅と牛乳を中心とした随筆、紀行文で活躍。神奈川県在住。
入札は2018年まで切符を入れる自動改札でした。今、外国人は有人改札だけですね。中国人の身分証はIC カードになっていて、切符の情報が記録されているので自動改札が通れます。
車内販売は時々回ってきます。来ない場合は、座席にあるQRコードを読み込ませて、注文すれば自分の席まで届けてくれます。
次回は商務車に乗ってみてください。駅の待合室も別の部屋で豪華ですよ。