1分半に1件発生! 高速道路の落下物、当たったら自己責任? 補償されないケースも
主要な高速道路において1分半に1件の割合で発生している「落下物」、これによる事故は、誰もが巻き込まれ得るものです。こうした落下物は落とし主の責任が問われますが、巻き込まれた側が泣き寝入りせざるを得ないこともあります。
「落とし主」に責任、しかし…
高速道路上では、ささいな「落とし物」でも、重大事故を誘発しかねません。このような本線上の落下物は、主要高速道路で2017年度に年間34万5000件(NEXCO3社、本四高速、首都高速、阪神高速の合計。動物の死骸含む)処理されています。これは、1日あたりにすると実に約850件、1分半に1件程度の割合で落下物が処理されているという計算です。
このような道路上への落下物は、落とし主が道路交通法違反に問われます。損害保険大手の損保ジャパン日本興亜によると、落下物に起因する事故についても、落とし主と責任割合を交渉していくそうですが、「落下物の種類にもよるものの、落とし主が判明することは少ないと思われます」といいます。同社に詳しく話を聞きました。
――落下物への衝突事故で、落とし主が不明の場合はどう扱われるのでしょうか?
落とし主へ損害賠償責任が問えないため、事故を起こしたドライバーの車両に損傷が生じた場合、ドライバーの自己負担あるいは車両保険での補償となります。
――落下物を避けようとして、壁に衝突したり、隣の車線を走行するクルマに衝突したりした場合は、同様に自己負担となるのでしょうか?
壁や相手車両への「第三者損害」に対して、落とし主にも責任が発生します。特に高速道路では、後続車両が落下物を避けることは困難であるため、落とし主の責任割合は大きくなる傾向です。
しかし落とし主が不明の場合、壁の修理費などは事故を起こしたドライバーの対物賠償保険で支払うことになります。落下物を避けようとしてほかのクルマと接触した場合も同様、落とし主の責任を問うことができないので、事故の当事者間で責任割合を個々の状況に応じて交渉します。
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落とし主が判明しない落下物によるクルマの損傷は、そのドライバーの自己負担あるいは車両保険を適用することになります。一方で、車両保険の補償範囲を「クルマ対クルマ」の事故に限定するなどして保険料を割り引く特約を付けていた場合、条件によっては保険料が支払われない可能性もあるといいます。
なお、各道路会社や国土交通省は、万が一自分のクルマから物が落下してしまったり、落下物を見つけたりしたら、「道路緊急ダイヤル(#9910)」などに通報してほしいとしています。
【了】
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