「ワイド周遊券」の魅力を振り返る 1980年代の鉄道旅行節約テク、現在はほぼ無理?

1980年代、安くて便利な国鉄の「ワイド周遊券」は、鉄道旅行にうってつけのきっぷでした。なかには知恵を絞り、貧乏旅行に活用した人も。多くの鉄道ファンを乗り放題の旅に駆り立てたこのきっぷの魅力を振り返ります。

国鉄時代、多くの鉄道ファンに愛された「ワイド周遊券」

 夏休みまっただ中。この夏も、JRグループからは全国の普通列車に乗り放題となる「青春18きっぷ」が発売され、鉄道ファンが“激安旅行”を楽しんでいます。

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1987年、国鉄分割民営化の瞬間も「ワイド周遊券」で北海道を旅していた。廃止間近のローカル線にも周遊券でたくさん乗ったが、いま考えるともっと増収に協力してあげればよかった(1987年3月、羽幌線の羽幌駅で栗原 景撮影)。

 いまでは「乗り鉄」とも呼ばれる鉄道旅行愛好家は、時代とともに様々なきっぷを愛用してきました。筆者(栗原 景:フォトライター)も、小学生だった1980年代前半から、お得なきっぷを活用して北海道を中心に全国の国鉄・JRを乗り歩いてきました。このころ、鉄道ファンに絶大な人気を誇っていたのが、「ワイド周遊券」です。自由周遊区間と呼ばれるエリア内の国鉄・JR線及びバスが乗り放題となるきっぷで、出発地から自由周遊区間までのA券と、乗り放題兼帰りのきっぷであるB券の2枚つづりで、廃止直前の1998(平成10)年時点では、北海道・道南・東北・南東北・信州・南近畿・北近畿・山陰・四国・九州・北九州の11種類が販売されていました。

 ワイド周遊券の人気のひみつは、自由周遊区間の広さと汎用性の高さにありました。当時は全線乗車した人を国鉄が認定する「いい旅チャレンジ20,000kmキャンペーン」が行われるなど、全線完乗を目指す「乗りつぶし派」が大勢いた時代。北海道全線、九州全線など広い範囲をいくらでも乗り降りできるワイド周遊券は、まさに乗りつぶし派のためのきっぷと言えました。行き帰りの経路では急行、自由周遊区間内では特急・急行の普通車自由席に乗り放題で、最大20日間という長い有効期間も魅力でした。

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コメント

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2件のコメント

  1. 所詮、昔の話。
    分割という状況下では、金の取り分でもめるだけ。成立せえへん。
    北海道ワイドなんか、函館本線の運賃の特例がのうなったころと時を同じくして
    値段は変えず有効期間は半分にしおった、ちゅうことは実質倍額アップや。
    もうやめたいちゅう意思表示やな。
    つわものの話があったが、別方向の周遊券を持って行商の人なんかは商談に出かけてたちゅうこともあったそうやが、昔はよかったなちゅうだけのこと。

  2. JR発足日の江差・松前線の旅の写真、後ろのセメント工場と手前の旧引き込み線から、これは五稜郭駅ではなく、上磯駅ですね。