ヨルダン装甲車、実は試供品? 61式戦車と「友好の証」 五輪見すえ日ヨ防衛協力進むか

寄贈品は一線に配備される現役特殊装甲車

 実のところ筆者は、ヨルダンから装甲車が日本に贈られるというニュースを耳にしたとき、ヨルダン陸軍を退役した戦車や装甲兵員輸送車が贈られてくるのではないかと思っていました。しかし「アル・サター」は、ヨルダンで装甲車輌の開発を手がけている「KADDB(アブドッラー2世王立設計開発局)」にて、特殊部隊による人質救出作戦などへの使用を想定して開発された装甲車であると知り、驚いたというのが正直なところです。

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ヨルダンから寄贈された特殊装甲車「アル・サター」(画像:防衛装備庁)。

「アル・サター」はフォークリフトのように、防弾装甲化されたキャビンを上下させる機能を備えており、敵の攻撃を装甲で防ぎつつ、キャビンに設けられた2か所の銃眼から、小銃などによる射撃ができます。また、建物内に立てこもったテロリストなどに接近を気づかれないよう、走行時に発する音を小さくするため、陸上自衛隊の戦車などに装着されている金属製の履帯(いわゆるキャタピラー)ではなく、ゴム製の履帯を装着しています。

 ゲリラなどによるテロ行為に悩まされ続けてきたヨルダンは、特殊部隊に力を入れており、前述したアブドッラー国王も即位前に、ヨルダン陸軍の特殊部隊司令官を務めています。またヨルダンは特殊部隊用の装備開発にも力を入れており、KADDBは「アル・サター」以外にも特殊部隊用の装輪装甲車などの開発と生産を行っています。加えてヨルダンの首都アンマンでは2年に1度(偶数年)、特殊部隊用の装備品に特化した防衛装備展示会「SOFEX」も開催しており、今回、日本に贈呈されることになった「アル・サター」も、2018年5月に開催された「SOFEX2018」で発表されています。

【写真】ヨルダン国王肝煎りの「KADDB」内部の様子

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