海自護衛艦「いずも」わずか31億円で「空母化」のワケ F-35B戦闘機の発着艦が可能に
アメリカ海兵隊機の発着艦は織り込み済みだった?
2020年度に計画されている「いずも」の改修が、発着艦に必要な最低限の規模にとどまっているのは、おそらく海上自衛隊がアメリカ海兵隊のF-35Bで「いずも」における発着艦の試験を実施し、その上で今後、どのような改修を行なうかを決めるという方針を定めているからなのではないかと、筆者は思います。
8月21日付の朝日新聞は、政府が2019年3月に来日したアメリカ海兵隊のロバート・ネラー総司令官(当時)に対し、改修後のいずも型で最初に発着艦するF-35Bはアメリカ海兵隊機になるとの見通しを示したと報じています。
冒頭で、いずも型は設計段階からF-35Bの搭載を視野に入れていたと述べましたが、いずも型の仕様策定に携わった海上自衛隊の元幹部は筆者に対して、当時の自衛隊にはF-35Bを導入する構想は無く、有事にアメリカ海兵隊と共同作戦を行なう際、海兵隊機が臨時にいずも型へ発着艦する可能性を視野に入れて、最低限の改修でF-35Bを運用できる仕様の艦としたと話しています。このため改修を受けた「いずも」で発着艦する最初のF-35Bがアメリカ海兵隊機であるのは、当初の構想どおりといえます。
上述の朝日新聞は同じ記事で、政府がネラー総司令官に対し、艦艇で戦闘機の運用要領を得るための助言や協力を求めたとも報じています。海上自衛隊とF-35Bを運用することになる航空自衛隊には、艦艇でジェット戦闘機を運用した経験がなく、経験豊富なアメリカ海兵隊からノウハウを学んだ上で、いずも型でF-35Bを運用するのに何が必要かを見定めるのは合理的な判断だといえるでしょう。
海上幕僚監部も、まず「いずも」に発着艦能力を与えた上で、将来的なF-35Bの運用基盤の整備を行なう方針を示しており、2022年度に行なわれる予定の「かが」の改修では、改修項目が追加され、「いずも」も後に追加改修を受けることになるのではないかと筆者は思います。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
今回の改修の目的はアメリカ海軍に便宜をはかり恩を売って貿易摩擦を緩和する事でしょう。自衛隊による空母運用なんて考えていません。なぜなら空母を運用するなら、早期警戒機も要るし護衛艦も必要になる。イズモ単艦の運用などあり得ないからです。有事の際にアメリカ海軍のプラットホームとして組み込まれるのでしょう。
国家が国家として「現在の日本海軍は米国第7艦隊の(かつては対ソ、現在は対中の)対潜部隊として設計されているので、遠洋に出ての単独シーレーン護衛任務はしたくてもできない」と国民に語っていれば、国家が自らの作った幻影に踊ることもなかったのだが。
「いせ」「ひゅうが」はヘリコプター搭載護衛艦だけど
ミサイル発射能力もあり艦としての
戦闘力もある
しかし、[いずも」「かが」は
更に大きくなったが
航空機運用能力を最大にするために
護衛程度の機関砲と
護衛の対ミサイル防衛ほど
基本的には艦隊運用のため
護衛艦が防衛する