空母甲板の障害物「艦橋」どこに置くのが一番よい? 試行錯誤の結論が「右舷」のワケ

戦前からこのかた、世界的に見ても空母甲板上の艦橋は右舷にあり、例外は旧日本海軍の「赤城」と「飛龍」くらいですが、これはなぜでしょうか。そこにはもちろん、空母黎明期からの試行錯誤と、その末に見出した理由があります。

一方アメリカは少し「上」を行っていた、高さ的な意味で

 一方アメリカ空母の艦橋と煙突は、たとえば「レキシントン」に見られるように、大きく直立し右舷側に縦に並べられています。「赤城」は排煙熱を舷外下方に流そうとしているのに対して、「レキシントン」は艦載機の着艦高度よりも高い位置に排出しようという発想でした。日本とは違った発想ですが、後に日本海軍でもこの形状が空母「隼鷹」「飛鷹」で採用され、現代でも多く使われている形式となります。

Large 20191024 01
アメリカ海軍の空母「レキシントン」日本空母とは対照的巨大な直立煙突が目立つ(画像:アメリカ海軍)。

 ところで、準同型艦だった「赤城」と「加賀」の左右別舷艦橋は、意外な利点もあったようです。

 航空機にとって空母はとても小さいもので、上空から識別できず、着艦すべき母艦を間違えるということがまま起こりました。たとえば1942(昭和17)年5月7日の珊瑚海海戦では日没直後に、九九式艦爆隊が間違って敵空母「ヨークタウン」と「レキシントン」に着艦しようとする珍事まで起こるくらいなのです。ちなみにこのとき、アメリカ空母側も着艦許可を出していたという、不注意が過ぎる謎の事件です。そのため、同型艦のある空母は識別用に飛行甲板へ、「赤城」なら「ア」、「加賀」なら「カ」と大書きしましたが、艦橋位置が左右で違っていれば、上空からでも準同型艦であろうがすぐに識別が可能です。

 また両艦は戦隊を編成することが多かったのですが、発行信号や手旗で連絡し合う際にも、「赤城」が右、「加賀」が左に並べばやりやすかったとの話もあります。もっとも海上では、接近するといっても数百メートルは離れており、左右舷の位置の違いの影響がどれほどであったのか、同じように左右別舷艦橋だった「飛龍」と「蒼龍」では同じような話は残っていませんので、真偽は定かではありません。

【写真】まるで波間の木の葉、大きなはずのヘリ護衛艦「いせ」を空から ほか

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  2. 海自の潜水艦が発射した魚雷が「揚陸艦へ突進」 雷跡を上空から捉えた珍しい写真が公開される
  3. ロシア海軍の潜水艦に「異変」! 衛星画像の分析で明らかに 船体に“巨大な傘”を設置か イギリス国防省が指摘
  4. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  5. 片山さつき大臣「実態調査はじめます」 街のクルマ屋の「保険代理店打ち切り」問題に新局面 ビッグモーター事件の余波に再び切り込む!
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  3. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  4. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  5. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由