ゆりかもめ、豊洲の先どこへ行く? 計画は人口増で白紙 東京湾岸エリアの状況背後に

人口増がゆりかもめ延伸の逆風に

 しかし2018年度の利用者は10万人を超え、周辺の開発はさらに加速。2023年から晴海のオリンピック選手村跡地を転用した住宅の入居が始まることから、最新の調査では、中央区の人口は今後20年で30%以上増加すると予測されています。

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開発が進む豊洲駅周辺(2018年10月、枝久保達也撮影)。

 本来であれば人口増は、鉄軌道整備を後押しする要素ですが、ゆりかもめ延伸計画においては、これが逆風になってしまいました。

 現在、豊洲、晴海、勝どき地区では、新橋・虎ノ門方面に直通するBRT(高速バス輸送システム)「東京BRT」の準備が進められており、オリンピック時に暫定開業、2022年度に本格開業する予定です。しかし、輸送量はピーク1時間で片道2000人程度と、地下鉄の10分の1以下の輸送力です。

 あわせてゆりかもめを延伸して、少しでも混雑を緩和するという考え方もありますが、もはや新交通システムの輸送力では焼け石に水であり、勝どきや豊洲など乗換駅のさらなる混雑をもたらすことになりかねません。やがて臨海部にも地下鉄が必要だとの意見が主流になっていきました。それが東京~銀座~臨海部を結ぶ「中央区臨海部地下鉄構想」です。

 結果的に、2000(平成12)年の運輸政策審議会答申18号で「2015年までに整備着手すべき路線」とされていたゆりかもめの勝どき延伸構想は、2016年の交通政策審議会答申の検討路線から除外され、事実上白紙になってしまったのです。

【了】

【地図】豊洲から先の「S字」延伸構想

Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

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1件のコメント

  1. たしかにゆりかもめは遅い・小さい・高いでいいとこないな…
    新橋から大した距離じゃないのに時間かかるし、豊洲に出てもしょうがないし