座席回転、クーラー設置… 進化を続ける通勤電車 その歴史を変えた画期的な車両5選
おもに都市圏で、通勤や通学用として走る通勤電車。車体の軽量化や省エネ化を図るなど進化を続けています。ほかにも乗客の快適性を追求し、クーラーやクロスシートを設置するなど、通勤電車史で外せない車両を5つ選んでみました。
最多の製造数を誇る国鉄103系電車
鉄道にとって重要な任務のひとつが、通勤通学輸送です。特に都市部の鉄道は、毎日何十万人もの通勤通学客を乗せて走っています。安全性はもちろん、錆びないために、省エネ化のためになど、通勤電車は様々な工夫が取り入れられ、日々進化しています。
そこで今回は、日本の通勤電車の歴史を変えた車両を、筆者の独断と偏見で5つ選んでみました。
通勤電車と聞いて、1963(昭和38)年に登場した国鉄103系電車を思い浮かべた人は多いのではないでしょうか。1957(昭和32)年にデビューした101系電車がベースで、モーター車の比率を下げるなどの改良がなされました。これにより、編成当たりの製造コストや変電所の設備投資を下げることに貢献しました。
103系電車は山手線に導入されたのを皮切りに、首都圏の路線へ次々と進出。さらに、京阪神地区や名古屋地区にも導入されました。1970(昭和45)年には営団(現:東京メトロ)千代田線への相互乗り入れ用に、前面を貫通形とした1000番台が登場。1974(昭和49)年からは運転台部分が高くなり、顔つきが少し変わったものの、1980年代に入っても大きな仕様変更をされることなく量産されました。最終的には3447両が製造されましたが、これは1形式の製造数としては日本一で、現在もその記録は破られていません。
一時期は「通勤電車と言えば103系」という時代もありましたが、平成に入ると通勤輸送の第一線を“後輩”に譲り始めます。首都圏からは2006(平成18)年、仙台地区からは2009(平成21)年に撤退したことで、JR東日本では全車が引退。JR東海でも2001(平成13)年に全車が引退し、現在はJR九州の筑肥線と、JR西日本の奈良線や播但線などで、60両程度が残るのみとなりました。これらの103系電車も老朽化が進んでおり、引退の時は近いようです。
ロングシート車に冷房を広めたのは京王5000系(初代)の功績でしょうが。