座席回転、クーラー設置… 進化を続ける通勤電車 その歴史を変えた画期的な車両5選

おもに都市圏で、通勤や通学用として走る通勤電車。車体の軽量化や省エネ化を図るなど進化を続けています。ほかにも乗客の快適性を追求し、クーラーやクロスシートを設置するなど、通勤電車史で外せない車両を5つ選んでみました。

座席指定列車でおなじみデュアルシートは近鉄5800系電車から

 大都市の鉄道会社では、通勤ラッシュの混雑を見越して、一般車両にはロングシートが多く用いられています。一方で、昼間の比較的すいている時間帯や急行などの優等列車には、車窓を眺めやすいなど乗客サービスを向上させたクロスシートを投入したいところです。ただし2種類の車両を準備するには、費用や効率化など難しい面があります。

「それなら、ラッシュ時はロングシート、日中はクロスシートに変換できる車両にすればいいのではないか?」という考えで開発されたのが、近畿日本鉄道(近鉄)の5800系電車です。私鉄で日本一の路線長を誇る同社は、大都市の通勤輸送をこなす一方で長距離を走る列車も多く、なかには大阪や名古屋から2時間以上を走る列車もあります。そうした列車に座席変換車両を導入すれば、両方のニーズを満たすことができて一石二鳥です。

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近鉄5800系電車(2017年4月、伊原 薫撮影)。

 近鉄5800系電車は1998(平成10)年に登場しました。ラッシュ時は、ドア間にある3脚の2人掛けクロスシートが90度回転。壁にぴったりとつくようスライドすることで、6人掛けのロングシートになります。この仕組みは一般的に「デュアルシート」と呼ばれますが、近鉄ではロングシート(Long seat)とクロスシート(Cross seat)の頭文字をとって「L/Cカー」という愛称が付けられています。座席の変換は乗務員室のスイッチで一斉に動作。乗客が個別に操作することはできず(クロスシート時は進行方向へ回転させることが可能)、また基本的に車庫内で行われるため、その様子は見られません。

 デュアルシートは、5800系電車とその後継である5820系電車に採用。また東武鉄道が東上線の座席指定列車「TJライナー」用として50090型電車に採用したほか、西武鉄道40000系電車、京王電鉄5000系電車、東急6020系電車などでデュアルシートを採用した車両が登場しており、座席指定列車や定員制列車の“必須アイテム”として普及しています。

 日本の経済を支えている通勤電車。その進化は今も続いています。この先どんな通勤電車が登場するのか、楽しみです。

【了】

【写真】「寿命が来たら更新」した209系電車

Writer:

鉄道ライター。乗り鉄・撮り鉄のほか、鉄道旅で酒を楽しむ「飲み鉄」や列車を貸し切って遊ぶ「借り鉄」の普及に勤しむ。最近は、鉄道と地域の活性化アドバイザーとしても活動中。好きな発車メロディはJR北千住駅。

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コメント

1件のコメント

  1. ロングシート車に冷房を広めたのは京王5000系(初代)の功績でしょうが。

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