座席回転、クーラー設置… 進化を続ける通勤電車 その歴史を変えた画期的な車両5選
ステンレス車体のパイオニア東急7000系電車
この209系電車をはじめ、現在の鉄道車両の多くはステンレス車体です。鉄製車体では錆びないように表面を塗装したり、錆びることを見越して材料を分厚くしたりしていますが、ステンレスなど錆びない材料であればそれも不要となり、材料の節約や軽量化にもつながっています。
こうしたステンレス車体を日本で初めて採用したのが、1962(昭和37)年に登場した東京急行電鉄(東急、現:東急電鉄)の7000系電車です。それまでも、車体にステンレスを用いた車両はありましたが、いずれも外側の板のみで、骨組みの部分は鉄製でした。東急7000系電車を開発した東急車輛製造は、アメリカの車両メーカーの技術を提供してもらうことで、骨組みも含めてステンレス製とすることに成功。側板や屋根の厚さを半分以下とし、塗装も省略するなど、その効果を最大限に発揮したのです。
東急7000系電車は134両が製造され、田園都市線や東横線、さらには営団(現:東京メトロ)日比谷線にも乗り入れるなど、広範囲で活躍。さらに、1980年代からは車体を転用し、機器を最新のものとした7700系電車への改造が行われました。東急で廃車となった後は地方私鉄などに譲渡され、一部は現在も走っています。また、同時期に東急車輛製造で造られた南海6000系電車は、2019年まで1両も廃車されることなく活躍を続けており、錆びない車体の威力を発揮しています。
ロングシート車に冷房を広めたのは京王5000系(初代)の功績でしょうが。