台風19号で交通寸断「陸の孤島」へ高速バスなぜ運行できたのか? 実現の裏側

中央道寸断のなか高速バス早期再開、実現の背景

 今回の台風では高速道路も広範囲で通行止めが発生し、多くの高速バスが運休しました。特に影響が大きかったのが中央道です。複数の地点で土砂が流入し、通行止めが10月12日(土)から1週間続きました。並行する国道20号、JR中央本線も不通となり、東京と山梨県甲府地方や長野県南部を結ぶ交通はマヒ状態に陥りました。

 中央道をメインルートとする新宿発着の「中央高速バス」全路線が運休するなか、山梨交通は、東名高速に迂回することで、所要時間は予測できないながらも甲府から東京へなんとか移動できそうだと判断。甲府発新宿行きの片道のみ、通行止め翌日の13日(日)から運行を開始しました。

 このときは、日頃の高速バスとは運行内容(経路、運賃など)が大きく異なることから、募集型企画旅行(バスツアー)という扱いで、通常運賃2200円のところ3000円に設定されています。

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新宿駅西口に設けられた甲府行きの臨時バス停(2019年10月、成定竜一撮影)。

 並行して、「中央高速バス」を共同運行する京王バス東らが、監督官庁と緊急の協議を重ねました。10月15日(火)からは、新宿発を京王が、甲府発を山梨交通が、それぞれ片道ずつ運行する形で、甲府から新宿に加え新宿から甲府の足を確保しました。

 この臨時運行には、天災時の対応を定めた道路運送法第17条が適用されました。本来のルートが通行止めになっているので、迂回運行に届出や申請は不要でしたが、あえて「災害時の臨時路線」として手続きをしています。というのも、片道運行(復路は回送)となるため、通常より高めの運賃を設定する必要があったからです。

 この手続きにより、ふだんの時刻や運賃にとらわれず臨時ダイヤや運賃を設定できました。なお、当初に募集型企画旅行形式で運行を開始した関係で、この新宿~甲府線の臨時路線は通常の「バスタ新宿」ではなく、新宿駅西口の26番臨時停留所発着で運行されています。

【写真】避難するバス

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