台風19号で交通寸断「陸の孤島」へ高速バスなぜ運行できたのか? 実現の裏側

台風19号の影響により、川の氾濫で営業所が浸水するなど、大きな被害を受けたバス事業者がありました。その一方、各地で道路や鉄道が寸断されるなか、高速バスは“ならでは”の柔軟な対応で、早期に運行を再開しています。

天災時における「バス」の強みとは?

 このような大規模災害が発生した場合、柔軟に迂回運行できる高速バスは、鉄道より早く運行を再開できるケースがあります。過去にも素早く運行を再開し、被災地から戻ってこられなくなっていた旅行者や出張客らに喜ばれました。

 2011(平成23)年の東日本大震災では、高速バスの運行を貸切バス事業者に委託できる「貸切バス型管理の受委託」制度の活用を、当時まだ構想段階でしたが、正式な法令改正を待たず国が先行して認めています。これにより、ふだんは東北方面を運行していないバス事業者の車両と乗務員が応援に入り、不足する輸送力を確保できました。

 また、福島県の南相馬と仙台を結ぶ路線のように、震災時に臨時で運行した高速バス路線が、地元客に定着して定期路線化した例もあります。

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営業所が被災するなか、運行先から回送で戻ってきた長電バスの高速バスには、共同運行先からの支援物資が積まれていた(画像:長電バス)。

 大きな災害が起こらないことが一番ですが、発生した際には、バスならではの柔軟性が役に立ちます。近年、気象災害が大型化しているほか、大地震の心配もあります。万一の災害の際に社会的使命を達成するため、バス事業者には十分な準備と柔軟な発想で、一刻も早く地域の足を確保することが求められています。

【了】

【写真】避難するバス

Writer:

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。著書に『高速バスのビジネス』(成山堂書店)、『「マーケティング感覚」の実装力』(同文舘出版)。新聞、テレビなどでコメント多数。

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