WW2期のアメリカ大量生産で登場「リバティ船」溶接と造船に革新と教訓 もたらしていた

「アーク溶接」と「ブロック工法」は造船をどう変えた?

 鋼船の建造で鋼材を接合する方法には、溶接が一般化する以前、リベットという、緩める機構がなく、半永久的に接合されるねじのようなものがありました。しかしこれには、熟練の技と時間を要していました。それと比較すると、アーク溶接は作業が簡易で工作時間も早く、鋼材の使用も少なくなります。

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建造中のリバティ船と溶接工。写真の女性は元ウェイトレスという。

 実はリバティ船以前にも、一部にアーク溶接とブロック工法を採用した船が世界中にありましたが、強度などの心配もあり、重要な部分にはリベットを採用している船舶がほとんどでした。そのなかでリバティ船は、戦時中の建造ということもありスピード性が求められていたため、積極的に新技術が本格採用されました。

 完成したリバティ船は即、輸送任務に従事し、連合軍を影で支えることになるのですが、1943(昭和18)年3月に重大な問題が発生します。ニューヨーク港外を航行中にリバティ船である「マンハッタン号」の船体が真っぷたつに折損しました。さらにこの船だけではなく、最終的には計7隻のリバティ船が、なんの前触れもなく船体が折れてしまう事故を起こしたのです。

【写真】狭い! リバティ船内の軍隊用5段ベッド

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