ロシア唯一の空母「クズネツォフ」中国初空母「遼寧」なぜ激似? 逆転した露中の立場

艦体だけでなく艦載機も似たもの同士

 こうして中国は、冒頭に述べたとおり、いまや「遼寧」と「山東」という正規空母2隻を有するまでになりました。ロシアがいまだ「アドミラルクズネツォフ」1隻のみなのとは対照的です。

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東シナ海を航行する中国海軍の空母「遼寧」(画像:統合幕僚監部)。

 ただし、ロシアも空母1隻で満足しているわけではなさそうです。現有の「アドミラルクズネツォフ」もすでに就役から29年経っています。また1隻のみだと訓練や整備などの際には交代できる艦がないため、空母機動部隊の運用に穴が開きます。

 そこで現在、ロシア海軍は各種タイプの正規空母のプランを立てています。ただし、排水量は約5万トンから8万トンまでで、主機は通常動力と原子力の両方で絞りきれておらず、いまだコンセプトははっきりしていない模様です。

 ロシア海軍としては、2025年から2030年の間に新型空母を1隻就役させたい意向のようですが、建造開始時期もいまだ決まっていないため、これについては不透明な状況です。

 一方、中国は3隻目の空母となる「003型」を2018年に起工しており、早ければ2020年に進水、2020年代半ばに就役する予定です。

 中国もロシアも、強大なアメリカの空母機動部隊への対抗はもちろん、大国としての空母のプレゼンス効果も理解しての動きであり、特に空母を複数持つようになった中国は、これまで以上に海洋進出と、周辺諸国への示威行動を強めることでしょう。

 ちなみに、空母に搭載する航空機、いわゆる艦載機についても、ロシアの「アドミラルクズネツォフ」が搭載するのは、同国空軍が運用するSu-27戦闘機を基に、艦載用として主翼を折り畳めるなどの改良を加えたSu-33です。

 かたや中国が艦載機として用いるのは、ロシア製のSu-27戦闘機を自国でライセンス生産し、無断コピーまで行って生産したJ-11戦闘機をベースに、前述のロシア製Su-33の技術を取り入れたJ-15戦闘機です。そのためSu-33とJ-15は外観がそっくりで、その点でも両国の空母は似通っているといえるでしょう。

【了】

【写真】ロシア空母の主力艦載機、Su-33戦闘機

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

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1件のコメント

  1. 決定的な差がありますよ。
    Su-33は目標の性能が出ており一応艦上機として運用できているのに対し、J-15は試験をごまかしているだけで、まともな性能が出ていません。
    ロシアは貧乏になりましたが、軍事技術では中国なんぞ相手になりません、