2020年 五輪輸送が「鉄道の未来」占う試金石になる? 時差通勤 深夜輸送 どうなるのか

2020年が2030年代の鉄道を占う

 近年、ナイトタイムエコノミー(夜間の観光需要)の活性化策として、地下鉄の終夜運転や終電延長が注目を集めており、従来から24時間運行を行っているニューヨークに加え、2016年からロンドンで週末限定の終夜運転が始まりました。日本でもオリンピックを機に終夜運転の実施を求める声がありましたが、要員確保や保守作業のスケジュールの観点から日常的に実施するには課題が多いため、期間限定の取り組みとして終わることになりそうです。

 いずれにせよ人口減少と高齢化が加速する日本において、2020年代に鉄道が大きな転機を迎えることは間違いありません。地方ローカル線の維持はより困難になる一方、大都市圏、特に東京への一極集中は一層強まると考えられています。東京圏の各鉄道事業者は、2030年代半ばごろに訪れると見られる人口のピークまでに、どの程度の設備投資が必要になるか、難しいかじ取りを迫られることでしょう。

 2013(平成25)年の招致決定以降、「当面の目標」とされてきたオリンピックが終われば、2030年に向けた本格的な準備や検討が進みます。2020年は、2030年代の鉄道のあり方を占う重要な一年にもなりそうです。

【了】

【写真】終電後は保守作業、終夜運転は難しい?

Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

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1件のコメント

  1. 終夜運行、NYで出来てるんだから日本の「やれない理由」は言いわけの為の言いわけでしかないのバレバレだよな。