新幹線「あおば」「あさひ」が消えたそれぞれの事情 残り2往復「はやて」も消滅寸前?

「あさひ」の次に消えるのは?

 それだけではありません。名前が廃止された「とき」は1962(昭和37)年、佐渡島に生息している鳥「トキ」にちなみ、上野~新潟間を結ぶ在来線特急としてデビューした列車名を引き継いだものです。列車の「とき」が消滅したころ、佐渡では日本生まれのトキが絶滅の危機に瀕(ひん)していた一方、中国からもらい受けたトキの人工繁殖に成功し、新潟県では「とき」の復活を求める声が高まっていました。

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現在の「はやて」でおもに使われているE5系(2011年11月、恵 知仁撮影)。

 こうして営業上の課題と地元からの要望が相まって、JR東日本は2002(平成14)年のダイヤ改正で「あさひ」を「とき」に改称。これにより「あさひ」が消滅したのです。

 それから20年近くが経過した現在、新幹線で廃止された列車名はありません。しかし、東北・北海道新幹線「はやて」は消滅の危機に瀕しています。

「はやて」は2002(平成14)年の東北新幹線・盛岡~八戸間の延伸開業にあわせ、東京~八戸間の速達列車としてデビュー。2010(平成22)年には八戸~新青森間の延伸開業で、運転区間も東京~新青森間に拡大しています。その一方で、2005(平成17)年には東京~盛岡間の「やまびこ」のうち停車駅の少ない列車を全車指定席にして「はやて」に改称しており、「行き先別」の方針が少し崩れた格好になっていました。

 2011(平成23)年には、東京~新青森間を結ぶ速達列車「はやぶさ」がデビュー。「はやて」は「はやぶさ」に統合される形で徐々に数を減らし、定期列車は東北・北海道新幹線の盛岡・新青森~新函館北斗間の2往復だけになりました。将来的には「あさひ」に続いて消滅することになるのでしょうか。

【了】

【写真】国鉄色181系の在来線特急「とき」

Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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コメント

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16件のコメント

  1. そもそも、名前の問題よりも、東北上越北陸3方面にいろいろな形式の新幹線(E2、E3、E4、E5、E6、E7)が走っていて、なおかつ、それらの車両の行先が統一してないからわかりにくいのでは。

    例えば、新潟行きかと思って乗ったE2系が長野行だったり、金沢行きかと思って乗ったE7系が新潟行きだったり、そういう誤乗はありそうな気がします。

    話はかわりますが、養護学校の送迎バスは車体の色で行先をわけているらしく、それで誤乗を防いでいるそうです。そんなわけでカラフルなバスがいっぱいあるそうです。

    それにならって、
    形式問わず東北方面なら緑、秋田が赤、山形が紫、上越方面ピンク、北陸長野はよくわからんだいだい色で統一してラッピングすれば誤乗もなくなるのかと。

    • 一理あるが、他線への転用が効かないんじゃ非効率この上ないではないか。

      因みにE2はもう長野(北陸新幹線)へはいっておらん。

    • 発車案内(発車標)も車両の表示も見ずに誤乗するような人たちはいくら車両のラッピングを変えたところで誤乗すると思いますが…。

    • JR東海が車両を統一するのは
      運用を
      効率にするため
      例えば何か不都合があっても
      「こだま」で来た車両を
      折り返し「のぞみ」や「ひかり」に出来るし
      逆も出来る
      JR東日本は金はあるから次々と新型新幹線導入するが
      新幹線に関しては路線で固定になるから
      以外に不便

      「はやぶさ」を「やまびこ」はある程度可能だが
      上越新幹線は基本
      東北新幹線の都落ちしか使ってない‼️

  2. 列車名「はやぶさ」採用は必要だったのか。「はやて」のままで良かったのでは。あと、東海道新幹線内で「ひかり」も消えるんじゃないのかなぁ。ミドルクラスって油断すると廃れるんだよねぇ。急行列車然りで。

    • のぞみと同じ理屈ですよ。速いからその分追加料金を取るには新しい名前をということで。

      追加料金を取らないのであればわざわざ別の名前にする必要もありませんからね。

  3. 相模大野から新宿行きえのしま号で放るんだけどね。

  4. 東北新幹線の「あおば」はまだしも、上越新幹線に新潟・山形県境の朝日連峰からとった「あさひ」は付会だろうと開業当時から批判されていたと記憶。

    • あさひは、確かかつての新潟-山形-仙台の急行の名前で、東京視点だけでなく新潟から見ても、なんで東京(当初は大宮か)行新幹線の列車名に?という違和感はあったのでは。さすがに在来線と新幹線では誤乗は無かっただろうけど。

    • 当時は羽越新幹線計画がまだ現実味があった(実際長岡駅はいつでも着工可能なように整備されてるし)ので山形延伸時を見越した名前だったのではないかと妄想。

    • 新潟県側では代表的な特急「とき」が格下のこだま級にされたという不満が強かった。
      愛称の選考委員だった故宮脇俊三氏の証言によると、「とき」は外せないが絶滅寸前の鳥類をひかり級にするのはよろしくないとした。
      ひかり級の選定は難航し、上越国境の山から登る朝日が日本海側に明るい光をもたらすイメージとしてよろしかろうということでなんとか決定、その後に急行の愛称を変更するよう新潟鉄道管理局へ通達したとか。外部からの選考委員は既存の「あさひ」を意識していなかった模様。

  5. 遅いはやぶさ変えてほしい→それこそはやてでいいんじゃない?割増取るためだろうな…

  6. ただ、自分たち西日本は
    停車駅で名前がわかるに慣れてる
    「のぞみ」は最速「ひかり」は多少停車駅に
    バラエティーがある
    「こだま」は各駅停車
    一度
    東京から新潟に行くときは
    ほぼ各駅停車の「とき」ただ
    途中で通過待ちはなかった
    (こだまは下手すれば「のぞみ」の通過待ちに
    6分停車する‼️)
    新潟から東京に帰る時は
    長岡出たら大宮までノンストップでも「とき」

  7. 上越、東北新幹線が開業する際に愛称の公募が行われ、「コシヒカリとササニシキ」や「カクエーとゼンコー」という案もあったらしい。当時はなかなか面白いと思ったが、今はササニシキや鈴木善幸さんの名前をあまり聞かなくなった。

  8. 北海道新幹線札幌まで延伸したら、東北・北海道新幹線の盛岡・新青森~新函館北斗間の「はやて」は「白鳥」(盛岡〜新函館北斗・札幌)、「北斗」(北海道新幹線のみ)になって、「はやて」は完全に消滅…

  9. 北陸新幹線の敦賀延伸時は かがやき も つるぎ もサンダーバード消えて、 ”すずめ”や ”リレーすずめ” が登場するんちゃう?