飛行機の「沖止め」なぜ起きる? ターミナルビルからバス移動 乗客に好都合なことも

歩くとなると広い空港 ビル傍でも橋を使わないことも

 たとえば、国内幹線で用いられることが多いボーイング777-200型機の幅は60.9mです。このクラスの飛行機が駐機可能なスポットの場合、隣の飛行機との主翼先端同士の間隔が7.5m以上になるよう国交省が定めており、これに基づいてスポットの幅が決められます。この場合ひとつあたりの幅はおおむね70m程度になり、搭乗橋同士の間隔も同程度になります。

 搭乗橋の数があまりに多くなると、検査場から搭乗口まで数百メートルになる場合もあるでしょう。その距離を、乗客は徒歩で移動しなくてはならなくなります。動く歩道などの補助があっても、大きな荷物を抱えていたら一大事です。費用や用地などの面が無視できても、「搭乗橋は多ければ多いほどよい」とはいいきれない理由のひとつです。

 こうしたことから、バスで機体のそばまで連れて行ってくれる沖止めのほうが楽なケースもありえる、ということもできるというわけです。

 ちなみにターミナル両端の距離を測ると、羽田空港第1ターミナルは800m超、第2ターミナルは1km超。関西空港の第1ターミナルは1.5km超にもなります。

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ターミナルが前後方向に大きく広がる関西国際空港。空港内はシャトルが走る(2019年12月、乗りものニュース編集部撮影)。

 なお、ターミナルビルのかたわらに駐機していても搭乗橋を使わないケースもあります。成田空港第3ターミナル(LCC専用)などは搭乗橋がなく、利用者はいったん地面に降りたのち徒歩で乗ります。

 ターボプロップ機などでは機体サイズの制約上、搭乗橋を使わないケースもあります。飛行機と空港の、搭乗口の高さが大きく異なるような場合、搭乗橋を使うと傾斜が急になってしまうためです。

 ちなみに沖止めという言葉は本来、船で使われているものですが、航空業界は船舶業界の影響をうけている要素が多いことから、これが定着したものといわれています。

【了】

【写真】ターミナルのかたわら でも搭乗橋を使わないパターン

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コメント

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3件のコメント

  1. >船舶業界の影響をうけている要素が多いことから
    ほぼ必ず左舷から客扱いするってのは船舶よりも徹底してる感。

  2. 関空T2は全て沖止めですよね。伊丹もプロペラ(ターボプロップ)機は沖止めだったですかね。
    そういやバリアフリー的には沖止めはボーディングブリッジ付けられるよりはやっぱりバリアで、バニラエア絡みで訴訟が起こったことを思い出します(今は解消されてるのかな?)。特にLCCしか就航してねーぞな空港への就航も数多いので。

  3. >動く歩道などの補助があっても、大きな荷物を抱えていたら一大事です。
    通常 機内には 大きな荷物や重い荷物は持ち込めません。