屈指の幸運艦 空母「瑞鶴」が見た旧日本海軍機動部隊 その全盛と最期とは

太平洋戦争におけるミッドウェー海戦は旧日本海軍にとってターニングポイントとなりましたが、それ以降、機動部隊の柱を務めたといえるのが空母「瑞鶴」でしょう。「瑞鶴」の最期はまた、機動部隊の最期でもありました。

ミッドウェー後を支え続けた「瑞鶴」と機動部隊最期の日

 ミッドウェー海戦ののち、「瑞鶴」は「翔鶴」と共に日本海軍空母戦力の主力となり、ソロモン、マリアナ、レイテと、優勢なアメリカ空母部隊と死闘を繰り広げます。

 1944(昭和19)年6月19日、マリアナ沖海戦で姉妹艦「翔鶴」が潜水艦から魚雷攻撃を受け沈没、「瑞鶴」もついに命中弾1発、至近弾5発を受け小破しました。この海戦で期待の装甲空母「大鳳」も撃沈され、艦載機戦力も消耗して事実上、日本海軍空母部隊は壊滅状態になります。それでも幸運といえるのか、「瑞鶴」はまだ生き残っていました。

 開戦3年目となる1944年に、映画会社の東宝が開戦3周年記念として映画『雷撃隊出動』を製作します。マリアナ沖海戦から帰還し瀬戸内海に在泊中だった「瑞鶴」も9月23日、ロケに協力して映画出演しました。

 しかし悪化する戦局に、その運も使い果たす時がやってきます。

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1944年10月25日、レイテ沖海戦にてアメリカ海軍艦載機から撮影された、攻撃を受け炎上する「瑞鶴」(画像:アメリカ海軍)。

 1944年10月、フィリピンに侵攻してくるアメリカ軍を迎撃するレイテ沖海戦が始まります。日本海軍艦船60隻以上、航空機約600機、アメリカ海軍艦船200隻以上、航空機約1000機、日米の稼働戦力を総動員し、合わせて20万人以上の兵力が投入された、史上最大の海戦ともいわれます。

 日本側も数だけはそれなりに揃えたように見えますが、度重なる敗北で人的損失は大きく技量水準は圧倒的に低下しており、機動部隊にはもはやまともな艦載機戦力はありません。それでもやはり空母は目立つので、最後の機動部隊として「瑞鶴」は、敵機動部隊を引き付ける囮役を引き受けます。

 フィリピン ルソン島の北東端エンガノ岬沖で10月25日、「瑞鶴」は敵艦載機の集中攻撃を受け、魚雷7発、爆弾が6発から8発命中、至近弾多数で沈没します。囮役は果たしましたが、海戦は日本の惨敗でした。

 9月にロケ協力した『雷撃隊出動』が、太平洋戦争開戦3周年記念日の1944年12月7日に公開されますが、この時には「瑞鶴」は沈没していました。「瑞鶴」沈没時の様子は、珍しく日本側が撮影した画像が残されています。比較的多くの画像が残されて、勇姿を偲ぶことができるのも、幸運艦の証といえるのかもしれません。

【了】

【写真】沈みゆく「瑞鶴」の甲板で万歳を唱える乗組員

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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