「危」「毒」表示のタンクローリー 何を運んでいるのか? 違う「危」と「毒」の意味

「危」「毒」タンクに安全対策の数々

 車両にはどのような特徴があるのでしょうか。極東開発工業によると、「危」マークと「毒」マークのタンクローリーは構造的に似通う部分が多いものの、おもにタンクの材質が違うといいます。前者の場合は鉄またはアルミ製、後者の場合は鉄を腐食させる物質を運ぶケースもあることから、ステンレス製が多いそうです。

「これら車両のタンクは、水を運ぶ散水車などとは異なり、内部が仕切り板により複数の『室(しつ)』に分かれています。石油類を運ぶタンクローリーであれば、前方2室にガソリン、後方2室それぞれに重油と軽油というように、複数品種を積載する目的もありますが、実はこの構造は安全対策でもあるのです」(極東開発工業)

 というのも、急ブレーキや急旋回により、遠心力でタンク内の液体がいずれかの方向に偏ると、横転の危険があるため、タンク内部を小分けすることで、走行中に波打つのを抑えているのだそうです。

 また極東開発工業は、「『危』『毒』のタンクローリーだと、タンクの『角(つの)』も特徴ですね」と話します。タンク上部の左右に伸びる出っ張りのことで、正式には「側面枠」などと呼ばれ、業界では「角」と呼んでいるのだとか。

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「危」「毒」両方のマークをつけたタンクローリー。タンク上部には左右へ伸びる「角」がある(2020年2月、乗りものニュース編集部撮影)。

「万が一、車両が横転しタンクがひっくり返ると、頂部の注入口から積載物が漏れ出す可能性もあります。『角』を設けることで、横転してもタンクがひっくり返らないようにしています」(極東開発工業)

 ちなみに、この「角」はメーカーごとに形状が異なるため、どこのメーカー製かを判別する目印にもなるそうです。

【了】

【画像】石油タンクローリーのタンク構造

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コメント

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2件のコメント

  1. タンクローリーはケミカルローリーでれば油脂の混載など車両の許容限度の範囲で各々の油脂を混載した最大積載量の比重計算と組み合わせの混載計算分布を申請しなければならないのだが、一応の大義は移動式タンクに分類されるので設置許可など断固たる車両の保管場所、隣接地の見取図など保管場所への新入経路が陸運局と消防双方の検査で検討されて危険物の輸送が認可されるのですが、保管場所を管轄する消防の消防検査が陸運局の検査と前後する辺りが不思議な話で、例えば混載分布を車検証に記載するのか?設置許可証の書面に一任するのか?各都道府県の陸運局の解釈が統一されないのも縦割り行政の障害なのでしょうかね?
    悪までもタンクローリーはタンクという物がトラックに搭載されてる移動式タンクで目的は当然に輸送なのですが基本は本拠地に在籍するタンクなのですね。

  2. 1ページ目のタンクローリの写真として出されている画像はKAFCO社所有の出光マークの給油車のものですが、一般のローリとはちょっと違い誤解を招き易いので、一般的なローリの写真と差し替えるべきと思います。また、「角」の意義をちゃんと理解せず記事を記載している様です。積載状態で横転した場合タンクの形状から完全に天地がひっくり返ってしまいますが、そうなると積載物の抜き取りが出来なくなります(そのまま吊るとタンクが裂ける)。それを防止するために、少なくとも横倒し状態となる様に角は有ります。