潜水艦でも戦艦と撃ち合えた? かつて潜水艦も「巨砲搭載」だったワケ 30.5cm砲も

仏潜水艦「スルクフ」は連装砲塔に加えて小型水上機まで搭載

 イギリスのM級潜水艦は、潜水艦で中長距離の砲撃ができるかとりあえず試してみたという、試作的な意味合いの強い艦でしたが、その約15年後に、隣国フランスでより本格的な砲塔を装備する潜水艦が誕生します。それが1934(昭和9)年に就役した「スルクフ(シュルクーフ)」でした。

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フランスが建造した20.3cm連装砲塔を搭載する潜水艦「スルクフ」(画像:アメリカ海軍)。

「スルクフ」は、砲の口径こそ20.3cmと小さいですが、これを連装で装備し、M級潜水艦よりも本格的な砲塔構造を有していました。艦内の弾薬庫と砲塔は揚弾装置でつながっていて、砲塔も船体首尾線を0度として左右に135度ずつ旋回可能でした。しかもセイルには、射撃管制用の基線長(ステレオ)式測距儀も備えられています。船体後部には航空機用の格納庫が設けられ、弾着観測や周辺偵察用に小型水上機を搭載することが可能でした。

 これらに加えて「スルクフ」は、魚雷発射管を艦首に4門、艦尾に4門の計8門備え、37mm機関砲2門と13.2mm連装機銃2基4丁も装備しており、全長110m、水中排水量4304トンと、大型の重武装潜水艦でした。

 この船体サイズは、第2次世界大戦末期に旧日本海軍が建造した伊400型潜水艦が登場するまで、潜水艦として最大でした。

 ただし、「スルクフ」のような本格的な砲塔システムや測距儀、観測偵察用航空機を装備した潜水艦であっても、実用性は悪く、これ以上、砲塔装備型潜水艦が作られることはありませんでした。

【写真】日本最大の潜水艦 伊号第四百一潜水艦の14cm単装砲

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コメント

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2件のコメント

  1. スルクフの艦尾魚雷発射管は4基じゃなく、3連装発射管1基と4連装発射管1基の2基。それも、水上艦のような旋回式の発射管で真横にも魚雷が撃てた。
    ちなみに、砲台が設けられたのは第一次大戦の戦訓が大きく影響していたんだと思う。
    実際、潜水艦史上最大の戦果を挙げた潜水艦U-35(撃沈総数224隻・535900総トン!)は戦果の大半が砲撃によるものだったりする。

  2. M級の建造目的は水上艦と撃ち合うためではありません。
    当時の行き詰まった戦局を打開するため、北海に面するドイツ海岸線に直接大群を上陸させベルリンを急襲する作戦に運用するためです。
    そのための支援砲撃艦として建造されました。
    その主砲は潜水しながら、砲身だけを出して撃てる様にも設計されています。

    喫水の浅いハッシュハッシュクルーザーも同じ目的です