潜水艦でも戦艦と撃ち合えた? かつて潜水艦も「巨砲搭載」だったワケ 30.5cm砲も

軍事の世界も昔から費用対効果が重要なのは変わりません。20世紀初頭、潜水艦の主兵装は魚雷と艦砲でしたが、魚雷は1発が高価で搭載本数も少なかったため、艦砲も多く用いられ、最終的に戦艦並みの主砲を積んだ潜水艦が生まれました。

実用性に疑問符が付いた巨砲搭載潜水艦の結末は…

 イギリスのM級潜水艦は結局、実戦では使用できないとして、1922(大正11)年に2番艦「M2」と3番艦「M3」から相次いで主砲を撤去し、前者は航空機搭載潜水艦に、後者は機雷敷設潜水艦にそれぞれ転用しています。

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第1次世界大戦直後のイギリス海軍M級潜水艦。右手前が艦首。3隻建造されたが、その内の2隻は就役から数年で30.5cm砲を撤去している(画像:アメリカ海軍)。

 唯一、30.5cm砲搭載のままで残った1番艦「M1」は、1923(大正12)年に砲身への海水流入事故を起こします。その後、1925(大正14)年春の海軍演習において、戦艦「フッド」の側面に急浮上し奇襲砲撃を成功させて表彰されるという実績を残しましたが、同年11月12日に英仏海峡において潜航中、スウェーデン商船と衝突し沈没しました。

 沈没の原因は、衝突で船体から30.5cm砲がもぎ取られ、そこから大量の海水が一気に浸水したからでした。

 フランス「スルクフ」の連装砲塔は、イギリスのM級よりは実用的でしたが、それでも砲口の蓋を開けるなど、射撃準備の時間は水上艦よりも長くかかります。なおかつ、船体が大きいため、急速浮上や急速潜航にも時間がかかるという、潜水艦として致命的な欠点も有していました。

 ちなみに「スルクフ」は、第2次世界大戦でフランスがドイツに降伏した後、イギリスに亡命し、自由フランス軍の所属艦として大西洋の船団護衛などに従事しました。そうしたなか1942(昭和17)年2月18日夜、カリブ海でアメリカ商船と衝突し沈没しています。

 このようにイギリスとフランスの両艦の例を見てみると、実用性や水密性の問題から潜水艦に巨砲は合わなかったといえるでしょう。あくまで、ミサイルなど存在せず、魚雷の信頼性が低かったころの試行錯誤のひとつ、過渡期の試み、と見られるものです。

【了】

【写真】日本最大の潜水艦 伊号第四百一潜水艦の14cm単装砲

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子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

2件のコメント

  1. スルクフの艦尾魚雷発射管は4基じゃなく、3連装発射管1基と4連装発射管1基の2基。それも、水上艦のような旋回式の発射管で真横にも魚雷が撃てた。

    ちなみに、砲台が設けられたのは第一次大戦の戦訓が大きく影響していたんだと思う。

    実際、潜水艦史上最大の戦果を挙げた潜水艦U-35(撃沈総数224隻・535900総トン!)は戦果の大半が砲撃によるものだったりする。

  2. M級の建造目的は水上艦と撃ち合うためではありません。

    当時の行き詰まった戦局を打開するため、北海に面するドイツ海岸線に直接大群を上陸させベルリンを急襲する作戦に運用するためです。

    そのための支援砲撃艦として建造されました。

    その主砲は潜水しながら、砲身だけを出して撃てる様にも設計されています。

    喫水の浅いハッシュハッシュクルーザーも同じ目的です

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