日本も病院船を持つべきか? そのメリット・デメリットとは

日本国内における新型コロナウイルスの流行を受け、「病院船」の保有についての議論が再燃しています。単純に考えてあったほうがよいであろう病院船ですが、もちろんデメリットもあり、これまで自衛隊は保有するに至っていません。

病院船を外交のツールに 災害対応に縛られないそのメリットとは

 こうした問題点を踏まえ、なおかつたとえば海上自衛隊が保有している艦艇のなかで手術設備や病床を備える「いずも」型護衛艦や「おおすみ」型輸送艦などを被災地に派遣して医療支援を提供すればいいのではないか、という意見もあって、病院船の整備は先送りされてきました。

Large 20200316 01
海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」。艦内に手術施設や病床を備える(画像:海上自衛隊)。

 それでも病院船には、ほかの艦艇には代替できない大きなメリットがあります。それが、外交のツールとしての活用です。

 近年、自衛隊は災害を想定した海外での訓練へ積極的に参加しています。たとえばハワイ近海で行われる「リムパック」や、アメリカとフィリピンの共同演習「カマンダグ」などです。そこで、病院船をこうした訓練に参加させたり、あるいは病院船を中心とした日本主導の多国間共同訓練を提唱したりすれば、日本の海外におけるプレゼンス(存在感)を大きく高めることにつながります。

 さらに、こうした活動を自衛隊の護衛艦や輸送艦ではなく病院船が行うことによって、たとえば南シナ海などで活動しても中国の反発を招きにくくする効果も考えられます。

 新型コロナウイルス対策で再び注目されはじめた病院船ですが、災害対応に縛られないメリットも踏まえつつ、議論が進められることになるかもしれません。

【了】

【写真】病院船「マーシー」の船内や訓練の様子

【新型コロナウイルス対応特集】新幹線や飛行機の換気はどうなってる? 定期券払い戻しの注意点など

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス
  2. 「春日部」から独立「県内8番目のナンバープレート」実現なるか? 新「ご当地ナンバー」導入へ早くも動き これから各地で?
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. 東京のベッドタウンにできた「道の駅」ウワサ通りの大盛況! 海ないのに「海産物がうまい!」…それこそが人気の秘訣?
  5. 北朝鮮 進水式で“派手に横転し”金総書記を激怒させた「新型艦」爆速で修理を行い海上試験開始!
  1. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  2. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス
  3. ロシア海軍のステルス艦が「大炎上」 ウクライナの攻撃で撃破される瞬間を捉えた映像が公開
  4. 「春日部」から独立「県内8番目のナンバープレート」実現なるか? 新「ご当地ナンバー」導入へ早くも動き これから各地で?
  5. 空母化進む「最大の護衛艦」がフェリーと並んだ! 大きさの違いが際立つショットを海自が公開