今後の高速バス すいてる便ほど安くなるかも 導入進むか ダイナミック・プライシング
「カレンダー運賃」はダイナミック・プライシングにあらず 導入に課題も
高速バス業界の現状を見ると、ウィラーやジャムジャムエクスプレスなど比較的新しく参入した事業者は、本格的にダイナミック・プライシングを活用しています。また首都圏と京阪神を結ぶジェイアールバス関東/西日本ジェイアールバスの夜行便「ドリーム号」なども同様です。
一方、高速バス市場のほとんどを占める、地方と大都市を結ぶ路線では導入が遅れています。長距離の夜行路線については、乗車日ごとに運賃の額が異なり、それをカレンダー形式で発表する手法は定着したといえます。しかし、一度発表された運賃カレンダーが更新されないとなると、ダイナミック・プライシングとは呼べません。
また、短・中距離区間を30分間隔など高頻度で運行する昼行路線では、繁閑に応じた運賃設定さえ定着していません。バス車内での現金収受など当日支払いの比率が多いうえ、「遅めの便を予約しておき、用件が終われば前の便に変更して帰宅」というような利用も見られ、こうした便変更にも対応する必要があり、運賃を細かく変動させると現場の運用が困難になるためです。
たとえば、福岡~鹿児島線(西鉄/南国交通/鹿児島交通/ジェイアール九州バス)の、前日までにウェブ予約のうえ決済を済ませた場合に適用される割引運賃は、便(時間帯)によって金額が異なります。しかし、乗車当日は便変更不可、コンビニ決済の場合は変更そのものが不可というような制約があり、高頻度運行ならではの利便性を損なっていました。
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