今後の高速バス すいてる便ほど安くなるかも 導入進むか ダイナミック・プライシング
高速バスで、便ごとの需要に応じて運賃を柔軟かつリアルタイムに変更していく「ダイナミック・プライシング」が本格化しそうです。利用者にとって「すいている安い便」をより選びやすくするための取り組みも進んでいます。
高速バス運賃、季節や曜日、時間帯によっても変化へ
コンサートやスポーツなど多くの分野で、需要に応じ柔軟に価格を変動させる販売方法「ダイナミック・プライシング」が話題です。高速バスにおいても、今後これが本格的に導入され、ウェブ予約時の運賃が便ごとに、しかもリアルタイムで変化するという状況が増えていきそうです。
高速バスの運賃は、以前は厳しい規制もありましたが、2012(平成24)年以降、国への事前届出の範囲内で、予約状況に応じて変動することが認められています。乗車券などに「予約後に運賃額が変わることがあるが、その場合でも差額の追徴または返金をしない」すなわち「予約成立時の価格が有効」だと明記すれば、予約受付中の便についても、運賃額を変動させることが可能になりました。たとえば宿泊予約サイトで空室検索する際、昨日の価格から値上げ、または値下げになっている様子が日常的に見られますが、それと同じことが高速バスでも認められたのです。
もともと、航空やホテルなどの分野では、予約データの分析に基づく需要予測をもとに価格設定を行う「レベニュー・マネジメント」が定着しています。かんたんに言えば、「繁忙日の満席が確実な便では価格を上げ、逆に閑散日の便は価格を下げることで搭乗率を上げ、収益を最大化する」という手法です。
ただ、価格を決める要素は繁閑の差だけではありません。たとえば業務出張の乗客は、必ずその日にその地に向かう必要があるうえ、コストは会社が負担するので、航空運賃の差はあまり気にしません。一方で観光旅行客は「自腹」のうえ、ほかに安い便があれば日付や行き先を変更できるので、価格に敏感です。季節や曜日、時間帯によって変わる客層も考慮しながら、価格や販売方法を上手に組み合わせるのが、レベニュー・マネジメントなのです。
レベニュー・マネジメントの考え方に基づき、曜日によって運賃を変える例は高速バスでも増えています。そのなかでも特に、予約受付中の便について、予約の伸び方に応じて運賃額を変動させることが、高速バスにおけるダイナミック・プライシングといえます。
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