海中にひそむ潜水艦 いかにして一国を脅かすほどの力 持つまでになったのか?
潜水艦の転機となった「核」の出現
地味で傍流だった潜水艦が一躍、戦略兵器となり脚光を浴びるのは、核エネルギーの実用化がきっかけです。
アメリカは第2次大戦末期に核兵器を実戦化しますが、戦後すぐにミサイルにも搭載するようになります。アメリカ海軍は潜水艦の秘匿性を生かし、核ミサイルを潜水艦に搭載することを研究、水中から発射できるSLBM(潜水艦発射弾道核ミサイル)を実用化します。着想の参考になったのは、飛行機を積んだ旧日本海軍の潜水艦「伊四百」とも言われています。
さらに原子力機関の実用化が潜水艦の地位向上に大きく貢献します。「通常型」といわれる潜水艦のように、エンジンでバッテリーを充電するために浮上して水面に姿をさらすという、従来の弱点を克服した原潜(原子力潜水艦)は、本当の意味の潜水艦となったといえます。
原子力による充分な発電能力で海水を電気分解し酸素を供給するので、原潜内の空気環境は地球上で最も清浄とさえいわれます。とはいえ、生身の乗組員には水や食料の補給や休養も必要ですので、ずっと潜っているわけにもいきません。海洋での活動期間は、アメリカ海軍の原潜で約70日間とされます。
原潜とSLBMを組合せたのが弾道ミサイル潜水艦です。広い海に潜んでSLBMを発射できる究極の戦略兵器で、アメリカ海軍が現在就役させているオハイオ級は24基のSLBMを搭載し、1隻で一国を脅かす十分な破壊力を持っており、核抑止力を担う要です。
2020年現在、弾道ミサイル潜水艦を運用しているのはアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インドです。北朝鮮は原潜ではありませんが、弾道ミサイル潜水艦の開発を行っている可能性が最近、注目されています。
核兵器の威力…(泣)