大規模災害時など「医療拠点になれる自衛艦」3選 「病院船」への変身は可能か否か
大規模災害時に病院船としての運用を想定した自衛艦
おおすみ型護衛艦のあとに建造された自衛艦には、より充実した医療機能を有する艦が存在します。
ましゅう型補給艦
ましゅう型補給艦は、海上自衛隊が保有する最大の補給艦で、全長221m、基準排水量は1万3500トンあり、2隻建造されました。
補給艦として様々な艦船に随伴し、長期航海や国際貢献任務に赴くため、各種事態に対応できるよう、手術室だけでなく歯科治療室やX線検査室、各種検査機器を備えた薬局兼検査区画を備えています。病床数は集中治療室を含めて46床あり、船内の医療設備は後述のいずも型護衛艦をしのぎ、自衛艦として最も充実しています。
艦内は、食料品をはじめとした各種物資や補給品などを積載するため細かく区分けされており、真水の補給能力や冷凍冷蔵庫、医療庫なども備えています。
実際、大規模災害への派遣時は病院船としての運用も考慮されていますが、補給艦としての性能を満たすために設計建造されているため、居住環境的に民間人の長期収容は難しいでしょう。
いずも型護衛艦
2020年3月現在、海上自衛隊の艦船で最も大きいのが、2隻建造されたいずも型護衛艦です。全長248m、基準排水量は1万9500トンあります。艦内の医療設備は、前述のましゅう型補給艦に次いで充実しており、手術室や歯科治療室、集中治療室のほか、隔離病棟まで備え、病床数は集中治療室や隔離病棟のものを含めて35床あります。
このほかに大規模災害への対策として、同乗者用に3段ベッドが備えられており、乗員とは別に最大500名まで収容できます。また短期収容であれば、最大4000人まで乗艦可能ですが、これは大規模災害時における帰宅困難者などへの支援を想定したものです。
傭船されている民間のフェリーは帰宅困難者対策に使えるかもしれませんね。