異性が隣に来る/来ない 高速バスの座席指定 どう決まるのか? 男女でエリア分けも

座席管理システムの進化が今後のカギを握る

 余談ですが、半世紀以上の歴史を持つ京王/富士急行の新宿~富士五湖線は、1994(平成6)年に共同運行化し座席管理システムをSRSに統一する前は、「相互乗り入れ」という形態で、両者が別々に座席を管理していました。

 当時の富士急行のシステムは、一部の大手旅行会社経由の予約については、号車、座席番号が乗車券に明記されていませんでした。京王の新宿高速バスターミナルにも富士急行の職員が常駐しており、こんにちの新規参入事業者と同様の乗車受付を行っていました。旅行会社経由以外の予約については乗車券に座席番号が記載されていたので、折衷型のスタイルだったといえます。

 なお、老舗バス事業者向けのシステムでも、SRSには、ある程度予約が入ったあとであっても複数人の予約をなるべくかたまった席で確保できるような工夫がなされています。また新規参入事業者のシステムのなかには、乗車前にメールやSMS(ショートメール)で座席番号を自動的に配信し、乗車受付を不要としたものもあり、それぞれの弱点を補う工夫が進んでいます。

 高速バス業界では今後、事業者は様々な新しいサービスが求められます。たとえば「ダイナミック・プライシング」と呼ばれる柔軟な運賃変動や、乗客データベースに基づいて「足が不自由なお客様だから前方席へ優先的に配席」といった個別の接遇、さらにはポイントプログラムなどリピーターへの還元策といったものが挙げられるでしょう。各座席管理システムには、単なる座席管理だけではなく、事業者の戦略と現場の運用を上手に結び付け、乗客の満足度を向上させる役割が求められています。

【了】

【写真】高速バスの「女性専用席」

Writer: 成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。新聞、テレビなどでコメント多数。

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コメント

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2件のコメント

  1. 一般乗り合い事業で認可を受けておきながら空席を男性に売らないとか完全な法律違反だろ
    属性は個人では選べない生まれ持った性別だろが
    これを差別と言わず平然と区別と言う事業者は廃棄しろ!

  2. 女性に優しい企画、のように宣伝しつつLGBTには何の配慮もしていない会社って多いですよね。