WW2で米本土の爆撃に唯一成功の「零式小型水上偵察機」 小柄でも大きかった存在感
アメリカ本土の空を飛んだ零式小型水偵
冒頭に述べたように、この零式小型水偵が、史上唯一のアメリカ本土爆撃を実行します。遠路、アメリカ本土近海まで運んだのは、伊25こと伊号第二五潜水艦でした。
1942(昭和17)年8月15日に横須賀を出港した伊25は、北太平洋を航海して9月7日、アメリカ西海岸北部にあるオレゴン州沖へ到着します。ここで天候の回復を待ったのち、9月9日に零式小型水偵を発進させ、カリフォルニア州の山林を爆撃、さらに20日後の9月29日にはオレゴン州の森林地帯にも爆撃を行い、両方とも成功しました。
このように太平洋の東、アメリカ本土の空を飛んだ零式小型水偵は、西に目を向けると、実はオレゴン州よりも遠いところで偵察飛行しています。それはインド洋の西端、アフリカ沖にあるマダガスカル島です。
日本とオレゴン州の距離が約8000kmなのに対して、日本とマダガスカル島の距離は約1万1500kmあります。そのような遠方へ向かったのは、フランスの植民地であった同島を占領しようとした、イギリス軍艦隊を攻撃するためでした。
そもそも、イギリスのマダガスカル攻略部隊への攻撃は、ドイツからの要請によるものでした。同盟国からの要請に対し、日本は潜水艦隊を派遣することに決め、そのなかの伊30(伊号第三十潜水艦)と伊10(伊号第十潜水艦)が零式小型水偵を積んでいました。
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