WW2で米本土の爆撃に唯一成功の「零式小型水上偵察機」 小柄でも大きかった存在感

潜水艦から小型水上機をカタパルト射出する方法は、ヨーロッパで生まれましたが、太平洋戦争でそれを広く用いたのが旧日本海軍です。アメリカ西海岸からアフリカ東海岸まで、まさに太平洋の端からインド洋の端まで運用しました。

潜水艦搭載を目的に開発された水上機

 太平洋戦争中、アメリカ本土に対して日本の水上機が爆弾を落としました。この爆撃はアメリカ建国以来初の空襲であり、2020年現在も正規軍が行ったものとしては唯一です。

 アメリカ本土空襲を実施したのは、潜水艦に搭載して運用することを目的に開発された「零式小型水上機」または「零式小型水上偵察機」という機体で、通称「零式小型水偵」と呼ばれます。「零式水偵」の略称で知られる「零式水上偵察機」とは別の機です。

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飛行する零式小型水偵(画像:アメリカ海軍)。

 潜水艦に小型飛行機を搭載することは、第1次世界大戦でドイツが初めて行い、イギリス本土爆撃に用いています。戦後にはイギリスやフランスでも実用化され、日本はヨーロッパ諸国よりも遅れて、1932(昭和7)年に就役した伊5(伊号第五潜水艦)へ初めて搭載しました。

 そののち、欧米では潜水艦と飛行機の組み合わせが下火になったのに対し、日本は太平洋戦争で飛行機搭載潜水艦を40隻以上建造し運用しました。このときに主力機として用いられたのが、前出の零式小型水偵です。

 零式小型水偵は、当初から潜水艦に搭載することを目的に設計されており、1937(昭和12)年に開発がスタートすると、翌1938(昭和13)年、初飛行に成功します。改良が加えられたのち、1940(昭和15)年12月に採用されました。

 機体は金属と木材の混合構造で、主翼は布張りでした。また潜水艦の狭い格納庫に収容するために垂直尾翼は低くされ、主翼の折り畳みやフロート(脚部の浮舟)の結合などは簡便化が図られていました。こうした構造により、組み立て開始からカタパルト(射出機)発進までの時間は、10分強だったそうです。

【写真】史上初のアメリカ本土爆撃を実行した零式小型水偵 出発直前

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