前脚が左にずれた異形の旅客機 ホーカー・シドレー「トライデント」 なぜこうなった
実は高スペックな「トライデント」 前脚の配置もこれが関係
ホーカー・シドレーの「トライデント」シリーズは、当時としては画期的な操縦機能を有していました。特に、現行の旅客機の多くで一般的となっている自動着陸(オートランディング)装置は、他社の旅客機より先んじて導入されたもののひとつです。
当時、こういった先進的な機能を持つ電装部品を収めるには、大きなスペースが必要で、かつ操縦室近くの機首部分に置く必要がありました。そのスペースを確保するためには、前脚を片方に寄せ、横方向に引き込む形式が好都合とのことで、これが、「トライデント」のユニークなデザインが採用された最も大きな理由といわれています。
前脚こそ一風変わっているものの高スペックだった「トライデント」シリーズですが、シリーズ累計の製造機数は117機で、そう多くはありません。これは、製造数累計1200機以上のボーイング727型機や、同1000機以上のツポレフTu-154型機などがあまりに市場を席捲したため、といわれています。
「トライデント」シリーズは、日本の航空会社での採用はなく、イギリスのBEA(英国欧州航空)や中国民航など数社が採用したのみです。ホーカー・シドレーの後進会社BAEシステムズによると、「トライデント」は、イギリスでは1986(昭和61)年1月に導入された騒音規制の影響をうけ退役、中国でも1990年代初頭まで運用されたものの、その役割を終え、現在は全機が退役しています。
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