【空から撮った鉄道】特別な「トワイライトエクスプレス」 24系客車を使った寝台列車 最後の日

国鉄時代から走り続けてきた客車寝台列車は、2010年代になって一気に淘汰されました。24系25形客車のラストランは2016年3月22日、下関発大阪行き『特別な「トワイライトエクスプレス」』でした。

ラストランは神戸~大阪間で撮影を予定するも…

 ついこの前まで当たり前だった存在のひとつに、客車寝台特急があります。2010年代に入ると、年を追うごとに寝台特急と急行が廃止されていきました。2014(平成26)年の「あけぼの」、2015年の「北斗星」「トワイライトエクスプレス」。そして2016年は急行「はまなす」と『特別な「トワイライトエクスプレス」』。この両列車は24系25形客車を使用した最後の列車であり、急行「はまなす」は北海道新幹線開業準備のため22日がラストラン。『特別な「トワイライトエクスプレス」』が24系25形の事実上のラストランとなりました。

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山陽本線垂水駅を通過するEF65 1124けん引の『特別な「トワイライトエクスプレス」』。後方は淡路島(2016年3月22日、吉永陽一撮影)。

『特別な「トワイライトエクスプレス」』は、寝台特急「トワイライトエクスプレス」の定期運行終了直後、24系客車の検査期限が切れるまでの約1年間、JR西日本管内を往復(一度だけJR九州に乗り入れて大分まで往復)し、客室は「ロイヤル」と「スイート」(スロネフ25形とスロネ25形)のみという豪華団体専用列車として仕立てた列車です。

 この『特別な「トワイライトエクスプレス」』は山陽本線、山陰本線、北陸本線、紀勢本線など、JR西日本管内をあちこち走りました。どの路線もロケーションは魅力的で、国鉄時代から走ってきた寝台客車の最後の晴れ舞台をどこで記録しようか悩み、ラストランの日を神戸~大阪間で空撮しようと決めました。

 撮影開始の場所は、世界最長の吊り橋・淡路海峡大橋の付近です。撮影当日の天候は申し分のない晴れ! こちらは大阪市内から大阪湾をショートカットして須磨方面へ抜け、神戸の街並みを横に見やり、20分くらいで現地へ到着します。少し早く到着したので、明石海峡大橋を撮りながら待ちます。15時10分すぎ、事前に地図でチェックしていた垂水駅へ移動します。その位置から狙うと、列車は小さいけれど明石海峡大橋がバックに写るかなと考えていました。

 やがて「トワイライトエクスプレス」カラーのEF65形1024号機が見えました。車体がダークグリーンのため目立ちにくく、さらに逆光気味のため車体が暗くなりがちですが、客車の銀色のカマボコ屋根が輝き、存在感は十分にあります。明石海峡大橋とのコラボは一瞬です。事前にチェックした読みが当たり、縦位置で狙うことが出来ました。

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明石海峡大橋を背に、屋根を輝かせながら『特別な「トワイライトエクスプレス」』が大阪へと向かう(2016年3月22日、吉永陽一撮影)。

 その後は山陽電気鉄道滝の茶屋駅付近へ。海岸線から超望遠で車両のアップを記録し、すぐさま須磨海岸沿いを走るシーンを狙います。

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A寝台2人用個室「スイート」とA寝台1人用個室「ロイヤル」からなる最後部車両のスロネフ25形503号車。山陽電気鉄道東垂水駅付近(2016年3月22日、吉永陽一撮影)。
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以下の4枚は垂水~塩屋間(山陽電気鉄道滝の茶屋駅付近)では超望遠レンズを使って車体側面を撮影した。最初はけん引機のEF65形1124号機。同機は2015年11月に「トワイライトエクスプレス」色に塗装変更された(2016年3月22日、吉永陽一撮影)。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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