「大量に建造された潜水艦」3選 WW2期から現代まで 最多建造はやっぱりドイツ製

20年間建造が続いた世界最多の原子力潜水艦

 第2次世界大戦後、潜水艦の性能向上に大きな影響を与えた要因のひとつが原子力潜水艦の登場です。原子力潜水艦の保有は、その国の海軍力を計るひとつの指標にもなっています。そうした原子力潜水艦のなかで、2020年4月時点において、世界で最も多く建造されたのが、アメリカのロサンゼルス級です。

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ロサンゼルス級原子力潜水艦の47番艦「アッシュビル」(画像:アメリカ海軍)。

 ロサンゼルス級原子力潜水艦は、1976(昭和51)年から1996(平成8)年までの20年間で62隻就役しており、2020年4月現在も半数の約30隻が現役運用されています。

 20年ものあいだ建造が続いたため、同級の初期型と後期型では性能だけでなく舵の位置なども異なります。全長は約110m、搭載する原子炉はほとんど変わっていませんが、排水量は初期型が水上排水量約6080トン、水中排水量約6930トンなのに対し、後期型は水上排水量約6330トン、水中排水量約7180トンと、250トン程度増えています。

 この排水量の増加は船体全体の4%程度にあたるため、そのぶん浮上速度や水中での機動性などに影響が出ていると考えられます。

 なお、ロサンゼルス級原子力潜水艦は、敵の潜水艦や水上戦闘艦などを攻撃するのを主目的にした、いわゆる攻撃型原子力潜水艦です。よって、敵国の政治経済の中枢を直接弾道ミサイルで攻撃するための、いわゆる戦略ミサイル原子力潜水艦(弾道ミサイル原子力潜水艦)ではないため、弾道ミサイルは搭載していません。

 21世紀に入ってから、後継となるバージニア級原子力潜水艦の建造が進められています。バージニア級は66隻の建造が計画されていますが、2020年4月現在で就役数は19隻にとどまっているため、まだしばらくのあいだ、ロサンゼルス級は現役で使われ続ける見込みです。

【了】

【写真】潜水艇を収納できるアメリカ海軍の原子力潜水艦

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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