英本土へ戦車を空輸せよ 独の巨大グライダー「ギガント」 作ったはいいがどう飛ばす?

超重戦車「マウス」や列車砲「グスタフ」など、いまに語り継がれる巨大な兵器を世に送り出してきたWW2期のドイツは、空にも当時、世界最大の航空機を飛ばします。ただしグライダーで、その離陸は当初、かなり無茶なものでした。

巨大兵器に定評のあるWW2ドイツの巨大航空機「ギガント」

 第2次世界大戦が始まって翌年の1940(昭和15)年、勢いにのるドイツはイギリス侵攻を計画しますが、海峡を越えていかなければなりません。

 そこでドイツ空軍は、イギリス侵攻用の大型輸送グライダーを計画します。ところが、その要求が無茶でした。積載量は20t以上で88mm高射砲(7.4t)と牽引用ハーフトラック(11.5t)のセット、またはIV号戦車(25t)、または兵員120名を運べることだったのです。これが巨大グライダー「ギガント」の始まりです。

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トラックと比べても巨大さが分かるMe321。後部にチェコ製プラガT9トラクターを連結しており、移動準備中と見られる(画像:ドイツ連邦公文書館)。

 貨物室は鉄道輸送との連接を考慮して、ドイツ鉄道の長物貨車と同じ規格にすることも求められました。当時の主力輸送機Ju52の、約16倍の積載量という途轍もないもので、その名の通り第2次世界大戦に登場した実用航空機では最大でした。

 また設計納期も無茶で、要求仕様発出から基本案提出まで14日間という短納期でした。ドイツの航空メーカー、ユンカースとメッサーシュミットがこの要求に挑戦します。結局、ユンカースは脱落しメッサーシュミットが開発を続行して、Me321を完成させます。翼長は55m、全長28m、全備重量35tという巨人機で、見るものを圧倒しました。ちなみにB-29の翼長は43mです。

 1941(昭和16)年2月25日、「ギガント」は4発エンジンの輸送機、ユンカース Ju90にえい航されて初飛行に成功します。

【写真】脳がエラーを起こしそうな「ギガント」のえい航機

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