陸の巨砲と「大和」の奇妙な符合 WW2ドイツは「カール自走砲」でなにをしたかった?

戦争は戦術や兵器の研究開発を加速し、大きな変革をもたらしうるものですが、それに取り残された兵器は不遇な末路を辿ることになります。戦艦「大和」しかり。そして陸上でも、古い思想で作られたドイツの巨砲が時代に取り残されました。

生まれた時点で時代遅れ 陸の「大艦巨砲主義」

 第2次世界大戦においては、それまでの常識が覆されるパラダイムシフトが様々な分野で見られました。そのひとつに大艦巨砲主義の陳腐化が挙げられますが、これを彷彿とさせる動きは陸上でも見られ、そしてその動きに翻弄されたのが「カール自走砲」でしょう。

Large 20200331 01
カール自走砲の試作車または生産1号車。2号車以降と転輪の構造が異なっている(画像:アメリカ公文書館)。

「大艦巨砲主義」の極地ともいえる戦艦「大和」の主砲口径が46cmだったことは有名です。艦載砲としては世界一の口径であり、1460kgの砲弾を最大で42km先まで飛ばす威力がありました。こうした巨砲は移動効率から艦載砲として使われることが多かったのですが、「大和」より大きな口径の主砲を搭載し地上で使おうとした戦闘車両があります。それが前述の、ドイツのカール自走砲です。

 外見は、大きな樽のような砲身を載せ、履帯(いわゆるキャタピラ)を履いており、不思議な形の車両ですが戦車ではありません。自走できる大砲ということで「自走砲」と呼ばれます。

 カール自走砲の主砲口径は60cmと「大和」より大きく、同時期のティーガーII戦車の主砲口径が8.8cmだったことと比べると破格の大きさですが、砲身の長さは極端に短いものでした。撃ち出す砲弾は最大で2170kg、炸薬289kgで、2.5mのコンクリート壁を貫通できる威力がありました。しかし射程は4320mと極めて短く、初速は220m/秒(大和は780m/秒)で、巨大な砲弾を高角度で打ち出す「臼砲」と呼ばれる大砲です。

 自重は120tとタイガーI戦車2台分よりも重く、最高速度は10km/h、燃費はとても悪くて航続距離は60kmという体でしたので、自走できるとは言うものの辛うじて位置を変えられる程度の機動性でした。

 実際の移動は、専用貨車に組み込んで鉄道で行われました。また鉄道の無いところでは、分解されて専用トレーラーで運ばれましたが、分解と組立てには専用の35tクレーンが必要でした。

 どうしてこのような兵器が生まれたのでしょうか。

【写真】カール自走砲 砲撃の瞬間 ほか

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス