海上自衛隊で最多使用の艦名「くろしお」 旧日本海軍では駆逐艦 戦後は民間潜水艇にも
一時は海自と民間双方の潜水艦艇に「くろしお」の名が
3代目の「くろしお」は、前述の2代目「くろしお」が解体された年、1972(昭和47)7月に起工され、1974(昭和49)年11月27日に就役しています。
3代目は、太平洋戦争後に登場した、いわゆる涙滴型と呼ばれる形状の潜水艦である、うずしお型潜水艦の5番艦でした。晩年は、おもに教育訓練用として用いられたのち、1994(平成6)年3月1に除籍されています。
4代目「くろしお」は2020年6月現在、現役の潜水艦です。2010年以降、海上自衛隊で主流になった、いわゆる葉巻型と呼ばれる形状の潜水艦であるおやしお型の7番艦として2002(平成14)年10月23日に進水し、2004(平成16)年3月8日に就役しました。
この「くろしお」は、すでに就役から15年以上経過したベテラン艦です。2010(平成22)年以前は防衛計画の大綱、通称「防衛大綱」によって、海上自衛隊の潜水艦保有数が16隻(+練習潜水艦2隻)と定められていたため、それまでの潜水艦は艦齢18年程度で退役していましたが、その後の見直しによって潜水艦の保有数が22隻(+練習潜水艦2隻)に拡張され、四半世紀程度は運用が続く見通しとなりました。
そのため現用の「くろしお」も今後、艦齢延伸工事が行われ、異常がない限り20年以上運用されると思われます。もし20年以上運用が続いたならば、3代目「くろしお」の艦齢を抜いて、4艦ある「くろしお」のなかで最長運用の艦になります。
ちなみに、アメリカ貸与の潜水艦である2代目「くろしお」より前には、民間潜水艇の「くろしお」が存在していました。同潜水艇は1951(昭和26)年8月15日に日本初の学術調査用潜水艇として竣工したもので、1960(昭和35)年に大改造されて「くろしお2号」と改名、1971(昭和46)年に退役したのち、北海道福島町の青函トンネル記念館に保存展示されています。
【了】
※一部修正しました(6月3日13時20分)。
Writer: 柘植優介(乗りものライター)
子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。
誰ですか!谷風やあさしおが力士の名前に由来とか言ってるのは?
海外にも、軽巡洋艦「雷電」とか ・・・