飛行機客室「3分で全空気入れ替え説」「空気は病院よりキレイ説」 ANAが語るその根拠
新型コロナの影響もあり、航空会社各社は機内の空気を「短い時間ですべて入れ替わる」、もしくは「病院レベル」の清潔さであるとアピールしています。どういった根拠でそれらが示されているのか、ANAの整備士が話しました。
1席あたりの1分間の空気供給量を基準に「3分」を提唱
新型コロナの影響で、飛行中、いってしまえば密室となる飛行機の機内空調に関心が高まるなか、航空各社とも、機内の換気は優れており「短い時間で機内の空気はすべて入れ替わる」とアピールしています。
ところがその仕組みや詳しいことはあまり知られていない、というのが一般的でしょう。そのようななかANA(全日空)整備センターの奥貫 孝さんが2020年6月15日(月)、報道陣に対し、その具体的な内容について話しました。
奥貫さんによると、ボーイング777型機の場合、エンジンから取り込んだ外のきれいな空気と、客室の空気を循環したのち0.3ミクロンの微粒子を99.97%捕集できる「HEPAフィルター」でろ過した空気を、およそ半分半分にまぜたものが、客室上部から機内の空気として提供されるとしています。その空気は天井から床に向け流れたのち、「HEPAフィルター」を通り循環されるものと、上空で機内の圧力を調整する「アウトフローバルブ」という圧力弁から放出されるものに分かれます。
ANAはこの空気の入れ替えについて「機内の空気は3分ですべて入れ替わる」としていますが、これはどのように算定されているのでしょうか。
「飛行機の設計基準に、1席あたり1分間に200L以上の空気量を供給できる換気システムを設置しなければならない、というルールがあります。この基準をもとに、供給する空気の総量を機体の体積で割ると、『およそ3分』という結果になります」(ANA整備センター 奥貫 孝さん)
また、ボーイングの飛行機だけでなく、エアバスやボンバルディアなどANAが使っているほかのメーカーの飛行機も、この設計基準に基づいていることから、大きな違いはないとしています。
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