海自艦船ヘリ搭載の歴史 最初の南極観測船や初の護衛艦など節目となった艦船3選

海上自衛隊の作戦行動において艦載ヘリコプターは必要不可欠なものですが、その先駆けはどんな艦だったか、運用開始から現在まで洋上でのヘリコプター運用における、いわゆるマイルストーン的存在になった自衛艦を3隻見ていきます。

自衛艦で初めてヘリコプターを搭載したのは?

 2020年現在、海上自衛隊のほとんどの護衛艦には、ヘリコプターの搭載能力が付与されています。また護衛艦に限らず掃海母艦や輸送艦などの補助艦も、大型のものはヘリコプターの発着が可能なものが多くなっています。

 海上自衛隊は、艦載ヘリコプターの運用ですでに半世紀以上の実績があります。そうしたなか、初めてヘリコプターを搭載したものや、初めて対潜ヘリを搭載したものなど、歴史の節目にあった海上自衛隊の艦船について振り返ります。

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名古屋港ガーデンふ頭に繋留展示されている砕氷艦「ふじ」(柘植優介撮影)。

 海上自衛隊で初めてヘリコプター格納庫や発着甲板を備えた艦船は、砕氷艦「ふじ」です。同艦は、戦後初の南極観測船「宗谷」に続く2代目の南極観測船として知られ、2020年現在も名古屋港ガーデンふ頭で係留展示されています。なお「宗谷」は海上保安庁所属であったため、「ふじ」は海上自衛隊初の砕氷艦であり、かつ南極観測船です。

「宗谷」においてはすでにヘリコプターが運用されており、「ふじ」を建造するにあたってその運用能力を拡充するため、大型のS-61輸送ヘリコプターを3機搭載できるようにしました。これにより「ふじ」は基準排水量5250トン、全長100mと、海上自衛隊の艦船で初めて5000トンを越え、それまでのものとは一線を画す大きさでした。

「ふじ」は1964(昭和39)年8月28日に起工、1965(昭和40)年7月15日に竣工します。起工前の1962(昭和37)年、輸送艦「しれとこ」の上甲板を用いてS-61ヘリコプターの運用試験と乗員訓練が行われ、その結果が「ふじ」にフィードバックされました。

 また「ふじ」は海上自衛隊が維持運用しましたが、建造は文部省(当時)予算で行われました。そのため、竣工後に防衛庁(当時)に移管され、砕氷艦に類別の上、艦番号が付与されています。なお、艦名は一般公募により決められました。

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