線路がなくともタイヤで疾走 米陸軍開発の輸送車両「オーバーランドトレイン」の顛末

未開の大地アラスカの運搬手段として注目された「陸上列車」

 1950年代、アメリカを中心とした資本主義国家と、ソ連を中心とした社会主義国家が対立する東西冷戦が激しさを増すなか、アメリカ本土のなかで最もソ連に近い最前線がアラスカでした。

 アメリカ陸軍は、ソ連から飛来する爆撃機やミサイルなどをいち早く探知するために、アラスカにレーダーなどからなる早期警戒監視網を構築しようとします。その際、未開の地に多くの物資を一度に運べる超巨大車両としてVC-12を用いようと考えます。

 早速、アメリカ陸軍はルトノアに資金協力をもちかけ、同社はより巨大な輸送車両の開発に着手し、1955(昭和30)年2月にVC-22が完成します。しかし、同車は発電機からの出火によって1年余りで廃車になったため、翌1956(昭和31)年に2車種目としてLCC-1「ロードトレイン」が作られました。

 LCCとは「ロジスティクス・カーゴ・キャリアー」の略で、牽引する3両のトレーラー合計で最大45tの積載量を有していました。早速、早期警戒監視網の整備補給に使用してみると有用であり、アメリカ陸軍はルトノアにさらなる発展型の開発を要求します。

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